第3章 川沿いの町で
「ホークスさん、お気遣いありがとうございます。」
騎士団のテント前にいたホークスさんにお礼を言う。
「さっきのヤツらが胡散臭いからな。明日も目を光らせておくから安心していい。」
「お世話になります。」
お礼に飴玉を三つ渡しておいた。中々の筋肉質の見た目だけど、甘党だと言うことを知っている。
「悪いな。遠慮なく貰っとく。」
嬉しそうだ。こういう場所で甘い物は貴重なのだろう。その日の夜は、安心して休む事が出来た。翌日の早朝。お爺ちゃんに起こされて早い内から出立した。
ホークスさんも起きていて、私たちを見送ってくれた。あの二人組を見張っておくし後を追わせないと言ってはガッツポーズを見せてくれた。
「お爺ちゃん、お香の匂いが薄くなって来たから新しいものを足しておくね。」
お香は私が作った、魔物除けの産物だ。商人とは言え、それなりに腕も立つ人ばかりだ。でも、万能ではない。
「すまんな、助かるぞい。このまま街道を進めば、明後日の昼には川沿いで一番大きな町に着く。そうすれば少し時間は取れそうじゃから、薬が作れる様に手配しようかのう。」
「ありがとう、お爺ちゃん。」
一番大きな町とは、楽しみである。そこから大型船に乗って、海を渡って違う国に向かうらしい。そして、その国はお爺ちゃんの出身の国だと教えてくれた。
港町である【マース】は、活気に溢れた大きな町だった。向かった先は、ある建物の前。
「お爺ちゃん、ここは?」
「ワシの三番目の息子が経営している店じゃぞい。さ、降りて中で休もうかのう。」
お爺ちゃんと共に店の中に入れば、お爺ちゃん似た男性が迎え入れてくれた。私の顔を見るなり、驚いた顔をして近付いて来た。
「貴女は、父さんの命の恩人のエイリンさんだろう?父さんを助けてくれてありがとう。一族皆が貴女に感謝しているんだよ。」
何やら、大事になっている。でも、お爺ちゃんは家族に愛されている様で微笑ましくなった。
「エイリン、ワシは息子のコクリと話しがあるから奥の部屋で休んでてくれ。おーい、誰かエイリンを部屋に案内してやってくれ。」
一人の恰幅のいい女性が私を奥の部屋に案内してくれた。案内された部屋は、中庭が見える質素だけど清潔な部屋。私は一目で気に入り、そのまま部屋で寝転べばいつの間にか眠ってしまっていた。