第18章 一つずつ丁寧に
次の実験も私が・・・だよな?そう私が言った。エイリンが作る薬はとても丁寧だ。だからこそ、あの様な加護も付くのやもしれない。
こんなもの、売り出して大丈夫なのか?しかし、私は気付かなかっただけだった。あの粉を飲んだ時にエイリンの体液(唾液)が混ざっていたからだと言うことを。
売り出すのは、問題ない相手のみという条件を付けての販売をエイリンに伝えた。私には二割などでは考えられない程の効能だったが。
あれから二週間が過ぎた。その間にエイリンから盛られた媚薬は、かれこれ三回目となる。
「今回は、そう変わりはない?一回目のアレは何だったんだ?」
そう、二度目と今回は自ら飲んだ。エイリンからの口付けはない。そこで、私は気付いた。
「まさに、媚薬だな。今回は六割。夜通しエイリンを愛しても足りない気がする。良かった・・・のか?自ら飲んで。」
良かったと思おう。
そして、その頃には紅蓮の牙はギルドから追放されていた。エイリンを追い回し、依頼を受けなかったからだ。それでも諦め切れなかったらしく、まだ町には滞在している様だ。
そのエイリンはと言えば、引きこもっての薬作り。やはり、生粋の薬師なのだろう。家に高濃度の薬が増えていく。そんな中、とてもいい出来栄えだと言ってはエイリンから栄養剤を渡される。
おかげで、仕事が捗って仕方ない。ノーチェ様にもお裾分けをしつつ、恐ろしいほどのスピードで職務を全うしていく。
薬草は・・・伝手を頼って依頼した。
「この薬で一儲け出来そうですね。」
「そうだな、それは否定できない。」
疲れたのかソファーで転寝しているエイリンを見て、苦笑いする私とルカ。
「ボスも、休まれてもいいのでは?」
「そうしたいのは山々なのだがな・・・。」
「動きそうなのですか?」
「ノアから連絡が来た。」
好戦的な目付きのルカ。だが、相手はあれでもAランクの冒険者。勝つのは難しいだろう。
流石に、この家に強硬手段をとは考えにくいがパーティーの中でも考え方が分裂しつつある様でどんな決断をするかまだ分からない。
「ヒーラーがあのリーダーの剣士と別れる様なことになったら、あのパーティーは存続できるのでしょうかね。」
「勿体ないな。折角の、Aランクなのに。」
「専属なんて選択をしなければ違った未来があったかもしれないのに、馬鹿ですね。」