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清算は断罪と共に

第17章 羽虫一族


「そして、あの羽虫はそれを餌に私服を肥やしていると。」
「本店がある以上、町も城中も我が物顔でしょう。」

これ以上、犠牲者が出るのは戴けない。ノーチェ様からも、檄を貰ったのだ。ならば、先ずは羽虫の方から手を入れよう。

洗脳は私の得意分野だ。そして、変装も同様。


私がこの国に来て、早七日。羽虫が営む全ての店の従業員を数名洗脳し、店の中を荒らした。洗脳する対象として選んだのは、羽虫一族が悪行を行っていることを知っている者たちだ。

貯めに貯め込んだ金銭は、放逐された且つての愛人たちにばらまいた。贅沢さえしなければ、生活していくには十分の金額だ。

悪徳商人に打撃を与えた事によって、下半身男への支援が滞って行く。その事によって、娘を城に差し出す事を拒む貴族も出て来た。

その頃には、下半身男が遣って来た経緯を国王へと知らせる書簡を送った。城の中も騒々しく、その書簡は怪しまれることなく届けられた。

その後の、国王の下半身男への鎮圧は早かった。国王は愛妻家だった。王妃に無体を働いた我が息子を許しはしなかった。

地下牢へと捕らえられた下半身男と、悪徳商人たち一族。私は最後の土産だとして楽しい贈り物をした。

「ボスもお人が悪い。地下牢を離宮として思い込まされるなど。同じく捕らえられた一族(男)を見目のいい女性に見える様に洗脳まで掛けて・・・。」

私は当主であるコリスに好意を持つ様に、下半身男を洗脳した。コリスの方は、下半身男に好意を持つ役目を与えた。洗脳されていない者からすれば、且つての王子と爺さんとの愛し合う光景にしか見えないだろう。

そして、その他の罪人にも同様に・・・。あぁ、相変わらずのモテモテだなあの下半身男は。羨ましいとは思わないが。

地下牢は、男たちの楽園となっていた。子が出来ることは無いし、精々楽しめばいい。洗脳が解けるのは、一年くらい先の頃だろう。

「アンドリュー様、捕らえました。」

現れたのは、ネル。マース国で店をやっていた、当主の三男は逃走を図っていた。その三男のコクリを捕縛したとのこと。年齢を重ねても、才能は衰えない様だ。

「一人くらい増えてもバレないだろう。収監しておけ。」
「御意。」

縄で縛られ動けなくなったコクリに、最後だと私は洗脳の魔法を掛けた。全てを忘れ、恋い慕う下半身男の餌食となるべく。








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