第17章 持ちつ持たれつでいきましょ
「ーー…。まぁ、そういうわけで、やろうと思えば呪印でイタチの居場所が分かるから、追うことは全然できるし。寧ろ、本来の流れである、イタチが穢土転生された後の方が大変かなって。仙術を身につけた薬師カブトを探すって結構難しいと思うんだ。」
「仙術を使うんじゃあねぇ。確かに蛇の道は蛇って考えも納得できるような…。」
先生は納得したような、してないような、そんな感じ。
「それさ、ギン知ってるの?」
「感知能力のずば抜けた子がほしいってことは聞いたけど、同じ蛇仲間の感知できる子がほしいとは思ってもなかったし。」
「ギンともそういう話、したことないよ?」
紗雪と千雪が代わる代わる言うのを聞いて、たらりと汗が…。
「…まじ?」
ギンを見て言ったら、ふいっと視線を逸らされた。
『出来ないよ。』
「「やっぱりね。」」
うそん。
「でも、気配に敏感なのは本当。」
「特に悪意的なのは分かるって。」
「あぁ、それは納得。綱手様ん家での感知はお見事でした。」
あれは凄かった。
ギンとゴンの感知がなければもうちょっと悲惨な目に遭ってたかも。
そこはまじで大助かりだった。
「…まぁ、とりあえず、いっか。」
なんとかなるっしょ。
「ふ〜ん、成る程ねぇ。どうやって根に気付いたのかなって思ってたんだけど、そういう事か。ま、怪我がなくて良かったよ。」
「…何で私達が気付いたって分かったの?」
紗雪が窺うように聞くと、先生は少し笑う。
「エニシの術の跡と、家に残ってた刃傷の痕跡から、そこで何があったのかを推測するんだよ。」
「あぁ、だからすぐ反撃しようとした時、止めたの?」
聞いてきた千雪の頭を撫でながら、私は笑う。
「そういうこと。先生達なら分かると思ったんだよ。’’先に手を出したのはどちらなのか’’、ってこと。」
どうせなら、正当防衛を説きたいじゃんね。
まぁ、やられそうだったら、そんな暢気なこと言わないけどさ。
「二人がこの姿でも戦えたから、出来たことなんだよ。二人ともありがと。頑張ったね。」
修行の成果が出たって事だ。
わしゃわしゃと頭を撫でると、二人とも嬉しそうに笑う。