第14章 ♪龍地洞ってどんなとこ?
「世界大戦が起こるんだってな。」
「え、えぇ…。知っている通りなら。」
「俺はその時、そこに…暁にいるのか?」
世界大戦などというふざけた催し事を、果たして自分が是とするのかどうか…。
サソリは、世界を敵に回してまで人形劇を繰り広げたいとは思わなかった。
そして、自分がそれに乗らないとなれば暁の戦力は落ちる。最悪は仲間内での潰し合いが始まっても不思議ではない。
そうなれば世界大戦どころではないような気がするのだが…。
この問いに、ライールの顔が曇る。
いつも淡々としている彼女にしては珍しい変化だった。
「あなたは…。」
言いかけて、彼女は一度口を噤み塞ぎ込む様に気を沈めてしまう。
「…言えよ。知っていることを話せ。」
サソリの気負いない言葉に促されるように、彼女は再びサソリを真っ直ぐに見る。
「あなたは、大戦にはいないわ。」
やはり、とサソリは思う。
が、次の言葉に、彼は大いに驚く。
「何故なら、その前に亡くなってしまうから…。」
「…何だと…?」
ー俺が…死ぬ…?
「はっ…。一体何処のどいつが俺を殺せるって言うんだ?」
俄には信じられぬその言葉に、サソリは思わず鼻で笑う。
「あと数年後…いいえ、もう一年もないかもしれない。あなた達、尾獣を集める任務を請け負っていない?」
ー何故知って…。
思わず思ったが、未来を知っているというのならば愚問だったと悟った。
「その中で、一尾の捕縛命令か何かが出る筈よ。」
「…もう既に出ている。」
サソリが答えると、ライールは悲しそうに目を伏せる。