第13章 思ってたよりも綺麗な人
「爆破するぞ。」
「外でやってね。うちは火気厳禁。」
「聞くと思うか?」
「思う!」
ぐっと両手の親指を立てて見せると、言葉に詰まって悔しそうに髪を掻きむしった。
「やめなって。髪長いんだから、絡まるよ?」
「うるせぇ!」
視線を感じて隣を見ると、小南さんが唖然としていた。
「…そんなに珍しいです?」
割と普通のやり取りだと思うんだけど。
「…あなた達、仲いいのね。」
ぽつりと溢れた言葉を拾い、私達は顔を見合わせてから肩をすくめる。
「お前が気さくだからじゃねぇの?」
「そうかな?でも、デイダラって割と誰とでも仲良くなれるタイプじゃない?」
「「「は?」」」
「え?」
いや、そんな合唱するほど変なこと言ってないよ?
「デイダラが…仲良くなれるタイプ…?」
小南さんは不思議そうに首を傾げる。
「問題を起こす、の間違いじゃないか?」
イタチの珍しい突っ込みに思わず吹き出した。
「ふはっ。酷い言われよう。いてっ。」
蹴られたし。
「うるせ。」
「でも、デイダラが問題起こすのって最初だけじゃない?話してみるといい奴だし。」
「いや、その後もかなり険悪になることが多いぞ。」
「あー、もしかして、第一印象で決めつけられちゃって拒絶されちゃうみたいな感じ?」
あるあるだよね。
「いいえ。話してみても第一印象のままだから仲違いしたままになるのよ。」
「えぇ!?うそ、デイダラが!?」
彼を見ると、嫌そうな顔を返された。
「んだよ。」
「想像つかないわ〜。」
あれでしょ?
事ある毎に「爆破するぞ」がずっと続くって事でしょ?
「ほっとけ。」
「人は見かけどおりって事か。いてっ。痛いよ、も〜。」
「テメェが余計なこと言うからだろ、うん。」
「出会いは大切にしないと駄目だよ?」
「まだ言うか。」
「はいはい、もう言わないよ。あ、空いてる席にどうぞ。紅茶でいいですか?」
「…えぇ。ありがとう。」
小南さんは少し気後れするようにぎこちなく座る。