第10章 ルーツを探しに出かけましょ
まずは市井で聞き込みだ。
イタチがどのくらいで帰ってくるかは分からないけど、最短で二週間位だって言ってた。
早いとこ片を付けなきゃ。
一週間位あれば、噂とその出所くらいは掴めるんじゃないかな。
お、早速第一村人発見!
「すみませ〜ん!」
私は大急ぎで走って行った。
「え?水かきのある人?そもそも水かきって何だい?」
「いや〜、そんな珍しい人は見たことも聞いたこともないよ。君はあるの?」
「魚人ねぇ。魚人…。そんなお伽話のような人って本当にいるのかねぇ。」
「―……。そうですかー…。ありがとうございました〜。」
マジで噂一つないんだけど。
日本でさえ、河童だの人魚だの八百比丘尼だのってあったよ?
綺麗さっぱり何もないってあり得るの?
「おかしいなぁ…。」
もっとあってもいいと思うんだけど。
この地球の人類歴史がなんぼのもんか知らないけど、その間そういう噂が一つも上がらないって本当にあるの?って疑いたくなる。
だって現に鬼鮫さんって人がいるじゃん。
「…ってまぁ、怒ったってしょうがないのは分かってるんだけどさ…。」
進展なさすぎてさー…。
(―……、だってよ。)
(うちはイタチ…!?)
(馬鹿…!声がでけぇよ…!)
“うちはイタチ”?
イタチの噂なんて久々だわ。
(うちはってあの”うちは”だろ?)
(そうだよ。最強写輪眼一族だよ。)
相変わらずだねぇ。
万能じゃないっつーに。
(…お前、見間違えたんじゃねぇの?)
(見間違えたりするもんか…!赤い眼に斑ら模様が入った奴を見間違えるってか…!?俺以外に見た奴だっているんだぞ…!?)
(分かった分かった、落ち着けって。そんで、そいつは何してたんだよ。)
(知るかよ。俺には一方的な惨殺にしか見えなかったっての。向こうの隣町の奴らが全滅さ。)
惨殺…?
それも衆目の面前で?
うーん…、それはなんか気になるなぁ。
でもなぁ、ついてくるなって言われてるし…。
それに、鬼鮫さんのルーツも気になる。
けど、一人じゃ限界があるのよねぇ。
かれこれ二時間聞き回って収穫ゼロだもんなぁ。