第10章 ルーツを探しに出かけましょ
………。
あれ?
そういえば今一人じゃん。
只今、誰の目も気にならないフリーランス状態!
これはチャンス到来なんじゃないの〜!?
だって気になるじゃん。
ついてくるな、なんて念押しするほど何をしてるのか。
「ふふん♪言わなきゃいいんでしょ?言わなきゃさ♪」
私ってば今日冴えてるぅ。
さっそくバルブをちょいと開いて、と。
「いざ!レッツだ…」
「何処へ行こうと言うんですかねぇ。」
がしっと襟首掴まれて若干首が締まった。
「え…?」
何故に鬼鮫さんがここに…?
「本読んでたんじゃ…?」
「イタチさんからあなたのお守りを頼まれた以上、やらないわけにはいきませんからねぇ。」
「…なんて忠実な…。」
思わず呟いたら、眉が僅かにぴくりと動き、次いでニタリと意地悪そうな笑顔になった。
「そんなこと言っていいんですか?イタチさんが知ったら大目玉を喰うのはあなたですよ?」
「ゔ…。」
確かに怒られそう…。
「でも…。でも、それについては物申します!イタチも治療そっちのけでどっか行っちゃうのがいけないと思います!」
早くて二、三週間、かかる場合は二ヶ月を超えるかもしれないって言われて心配するなって方が無理だと思わない?
「高々、三ヶ月でしょう。然程変わらないと思いますが?」
「イタチに限っては変わるんです。」
ここまで治るのに結構苦労したんよ。
「けれど、こっそり行ったところで治療出来なければ同じことなのでは?」
「うぐぅ…。」
論破された…。
だって…。
「心配なんですよ…。イタチってすぐ無理するし、我慢強いから痛くても言わないし、素振りも見せないし…。」
私は、イタチに”傷つくことを、傷ついたままでいることを当たり前に思わないでほしい”。心も体も。
それは子供の頃から変わらない。
しゅんと項垂れてると、頭上から「あなた達は…」という言葉と共にため息が下りてきた。