第9章 久々に血が騒ぐわ…!
「何かあったと思ったんですがねぇ。」
鬼鮫達三人は寄り集まって、少し離れた所からエニシを見る。
「あったとは思いますよ。一昨日の様子がおかしかったですし。」
白が言うと、鬼鮫と斬不斬は振り返る。
「斬不斬さん達が出た後、すぐにお二人で散歩に出かけられて、一人で帰ってきた時にはいつもと違ってぼんやりしてました。」
それを聞いて、ふむ、と鬼鮫は腕を組む。
「やはりイタチさんと何かあったことは確か、ということですか。それなのにこの落ち着きようは些か違和感がありますねぇ。」
「そんなに真面目に考えることでもねぇだろ。」
「おやおや、それは心外ですねぇ。揶揄うのに絶好の種となりそうなものを。」
にやりと笑う鬼鮫を見やり、斬不斬は嫌そうに眉を顰める。
「色恋で慌てる性格でもあるまいし。無駄だろ。」
うんうん、と頷く白を見て、鬼鮫は奇妙なものを見るように二人を見る。
「寧ろ慌てふためいたところしか見たことがないのですがねぇ。」
その言葉に、今度は二人が奇妙な顔を作り、鬼鮫を見た。
「…もしかして、エニシさんの想い人はうちはイタチなのですか?」
「だから、奴にあんな寛大なのか。」
白と斬不斬が納得したように言い合うが、鬼鮫は少し首を捻る。
「寧ろ両思いな気もするんですが。」
それを聞いた二人は唖然と鬼鮫を見た。