第9章 久々に血が騒ぐわ…!
「…それ本人達は知ってるんですか?」
「知らないんじゃないですか?お互いに気付いてないみたいですよ。」
「…あんな分かりやすい奴の気持ちに気づかないって…あるのか?」
斬不斬と白は首を捻るも、鬼鮫は然もありなんといった風に構えている。
「現に成立してるので、あるんでしょう。私も側から見てて不思議ですよ。」
それを聞いた二人は呆れ半分で互いの顔を見合わせた。
「それはまた…。案外と似たもの同士なのかもしれませんね。」
「奴とエニシが、か?似ても似つかねぇだろ。」
「根っこの部分がってことですよ。」
「そうか…?」
「鈍感という意味でなら似たもの同士と言えなくはないと私も思いますね。」
白はそれを聞いて、ふふ、と優しく笑う。
「いつか、エニシさんの気持ちが届くといいですね。」
「私は永遠にすれ違っているところが見たいですね。」
「…性格悪りぃぞ。」
鬼鮫の意地の悪い言葉に、斬不斬は思わず本音を溢した。
三人でひそひそと身を寄せ合う様は側から見ると、とても仲が悪いとは思えない。
「…何してんだろ。ってか、やっぱ仲いいじゃん。」
エニシは少し離れた所から三人を見やり、ぼそりと呟いた。