第12章 婚星(よばいぼし)、君を抱きしめる ✳︎✳︎
甘いけど、優しい炎を漂わせた独占欲が唇から漏れる呼吸と一緒に染みていくようだ。一つ一つキツめに肌を吸われ、痛みも少しあった。
「傷の近くに君が俺のものだと言うしるしをつけた」
「え……、それって」
息も絶え絶えになりながら振り向く。すると彼が私の頬に手を添え、唇に温かなぬくもりを落とした。
「君と俺だけの秘密、と言いたい所だが…胡蝶には見られるやもしれんな」
「もう……いじわる……あん…」
背中の傷をそっと撫でられた。
杏寿郎さんは、低い声で囁きながら頬に置いていた手を胸に滑らせていく。そしてまた胸の蕾を優しく優しく擦った。
「はあっ」
「まだ始まってもないぞ」
布団にまた寝かされる。トンと背中がついた瞬間、耳に甘い愛撫が届いた。中がぬるりとした刺激でいっぱいになる。
隅々まで舌が行き渡ると、そのまま彼は口づけをしながらつつつ……と下に辿っていく。
「んん……」
「七瀬」
顔のすぐ上から名前を呼ばれたので、閉じていた目を開ける。
すると……。
「もっと君に近づきたい、いいか?」
近づく ——— その意味合いを想像すると徐々に体が熱くなって来た。彼の首に手を回し、それから頭をゆっくりと自分の胸元に引き寄せる。
髪の毛、ふわふわで気持ち良いな。
金色の髪にゆっくり手を差し入れて撫でてみると、とても気持ちよさそうな反応を見せてくれた。
しばらく杏寿郎さんの頭を撫でていたら、なんだか彼の顔が下に下に下がっていく。え、待って待って……
あっ……と思った時にはもう遅かった。
蜜が溢れている下腹部に彼の顔があった。じいっと視線を感じる。瞬間、体がじわじわっと粟立つ。
「まだ入れていないと言うのに……この溢れようは凄いな」
「あまりそう言う事、言わないで……ん、はぁ」
彼が入り口周りの蜜をねっとりと舌に絡め始めると、ぞくっと震える自分の体。