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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第1章 緋(あけ)と茜の始まり




「柱の方はお忙しいと思いますが……娯楽を楽しむと言う事はあるんですか?」

「ああ!非番の日は相撲や歌舞伎を観に行ったりするぞ、能もだな!」


「へぇ……歌舞伎と能もお好きなんですね。相撲は納得です」
「意外か?」
「ふふ、そうですね。少しだけ」

彼女がようやく笑顔を見せた。もう少し話をしてみたい。
しかし部屋にある壁掛け時計を確認すると、ここを出ないといけない時分になっているではないか。


「む!もうこんな時間か……」

「すみません。お時間取らせてしまって。でも巧のお話聞けて良かったです。炎柱様、ありがとうございました」

「気にするな。俺も彼との約束が果たせて安心した」

そのまま引き戸の方に向かおうとするが、ある事を思いついたのでそれを彼女に伝えた。


「煉獄で良いぞ」
「はい!それじゃあ……煉獄さん。お気をつけて」
「うむ!またな!」

引き戸を開けると、今度こそ部屋を退出した。
明日はどうなるかわからないと言うのに、再会を約束するような言葉が口をついて出るとは。
何だか今日は驚いてばかりだ。無論悪い物ではないが。





「七瀬ちゃん……」

その時 —— 正面から黄色い頭の少年が早足で歩いて来る。山吹色の羽織の下に隊服を着用しているので、隊士だろう。

彼の行き先は俺が今しがた出て来た部屋だ。
中にいる沢渡少女から入室を促されると「七瀬ちゃん!目が覚めて良かったあー」と嬉しそうに部屋の主に声をかけて入っていった。

その様子を見て俺はほっとした。
彼の言う通りだ。彼女の目が覚めて良かった。何より助かって良かった。


ここまで記した事が自分の継子 —— のちにかけがえのない恋人になる七瀬との出会いだ。


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