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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第10章 恋柱・甘露寺蜜璃



杏寿郎と蜜璃が楽しく会話している様子を、対面側の以心伝心からじっと見ている視線が一つあった。


『師範と蜜璃さん、美男美女でお似合いだなあ』

先程から二人の会話に出ている七瀬本人、である。

蜜璃が言ったように、彼女と七瀬は先日食事に行った。
その際、姉弟子は蛇柱に会いたくなったと七瀬に伝えた。

しかしそれを思わず忘れてしまうぐらいの光景に、ついつい二人へ羨望の眼差しを送ってしまう。


『伊黒さんが飴細工好きって言ってたから、多分それを選んでいるんだろうけど。師範と一緒にいるのはやっぱり……』

「おい、十人並み!入んねえのか?」

「わっ!!びっくりしたー!!……ってあれ?もしかして宇髄さん?」

「そーだよ、あ!そーか。お前にこの姿見せるのは初めてか」


七瀬の背後から気軽な調子で声をかけたのは音柱の宇髄天元。大正時代には珍しい身長百九十センチ超え。衣服の上からでもわかる、筋骨隆々の体躯だ。

「だっていつもの花火の化粧と額当てがないから……」

“自分は今の宇髄さんの方が良いと思う”と言う言葉は喉元でかろうじて堰き止める七瀬。

「嫁達の要望でなー。いつもの派手な俺も良いが、素顔もたまには見たいんだと」

「そうなんですね……」

改めて天元の整った顔立ちに、ほうと感心した七瀬だ。
通常纏めている銀髪は下ろしており、彼が左目に施す花火模様は今日に限り、藍色の着流しの上に品よく舞っていた。

着流しに重ねている羽織は左半分に椿が、右半分が無地の紫色。
鮮やかさと落ち着きが同居している衣服、と言った具合だ。


「おい、あれって煉獄と甘露寺か?あいつら何してんだ?」

音柱の視線の先には肩より少し長い金色の長髪が、そしてその隣には桃色と若菜色が混ざる三つ編み姿の長髪があった。


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