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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第46章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎



「お疲れ様でした……」

「君もな」

煉獄邸に帰宅して、湯浴みを済ませた二人。今は杏寿郎の部屋に敷いてある布団で隣り合い、体を密着させている。

互いに任務後の昂った感情のまま、体を数回繋げた。七瀬の体にも杏寿郎の体にも同じくらいの花が咲き乱れており、目に入る度にくすぐったい思いが湧き上がる。

「今日から九月ですね。これから秋に段々近づいていくんだなあと思うと、少し寂しいです」

「そうだな。しかし嬉しい事もあるぞ?」

「え……?」

七瀬は彼の胸にぴたりと密着していた顔を上げると、優しい雨が数滴彼女の唇に降った。そしてぎゅうと抱き込まれた後、左頬に杏寿郎の右頬が柔らかく当たる。

「こうして君に近づく事がより自然になるし、さつま芋も更に美味くなるからな!」

「ふふっ、確かに。食欲の秋ですもんね」

杏寿郎の背中に回している両掌で数回ポンポンと柔らかく叩いた後、彼女もぎゅうと杏寿郎を抱きしめた。

「ねえ、杏寿郎さん」

「どうした?」

低音がいつもより近くで耳に響くと、心地よく跳ねるのは七瀬の心臓の鼓動だ。

「よく”自分の敵は自分”って言うじゃないですか?あれ、本当ですね」
「む……?」

「私はあなたの剣技に今まで数えきれないぐらい、たくさん嫉妬して来てますけど…。こんな風に考える事そのものが”敵”なんだなあって、凄く感じましたよ」

「ほう」

「朝霧に血鬼術をかけられている間、ずっと自問自答していました。滅しなきゃいけないのはその感情が向かっている相手じゃなくて、自分の中にある”思い”なんだって。それに気づいてから私は少し楽になった気がします」

「そうか」

「はい」

「………」

「………」

もう後三十分で夜明けがやってくる———と言う事は。

「そうだ、明け星!また観に行きませんか?きっと今日はより綺麗だと思いますよ」

「それも良いが……俺は君ともう少しこうしていたい」

その言葉と一緒に届いたのは、杏寿郎からのとびきり甘い口付けだ。


「うーん。じゃあ、折衷案を考えましょうよ。お互いにとって丁度良い所を」

「……わかった」

了承してくれた彼に今度は七瀬からそっと口付けを贈る。


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