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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第46章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎



右手でトンと彼の胸板を軽く叩くと、左頬から杏寿郎の右手が外され、今度は七瀬の左手にそれがゆっくりと絡められた。すると、きゅっと甘く鳴るのは胸の鼓動だ。
そして深呼吸を一度する。

「………じゃあ……しっかり受け止めて下さいね?」

「承知した」

目の前がフッと暗くなり、再び杏寿郎からの優しい口付けが届く。
数回お互いの啄みを響かせた後、大きな親指で唇をゆっくり開けられると入って来るのは温かい彼の舌。

「ん、ダメ……きょ、あっ……」

「はっ、七瀬……受け止めろと…んっ…言ったのは、君だ」

絡められてない右手で彼の胸を押すと、そちらも瞬時に捕まえられてしまい、トン…と近くの石壁に優しく押し付けられた。

「きょ、じゅ、だから、はあ……ダメ」

「んっ、七瀬」

密着した唇と唇の間からツウ……と落ちるのは彼女と彼を繋ぐ透明な雫。


「も……はあ…ダメ…」

「…………」

瞬間、大きく音が響いたかと思うと、炎柱の唇がスッ……と離れる。

「あれ……杏寿郎さん?」

七瀬はあっと息を大きく吐きながら、目の前を見つめた。そこにあるのは、唇に綺麗な狐を描いている恋人の笑顔だ。

「続きは帰ってから存分に」

「ん……」

最後にもう一回、唇同士が触れ合う。彼は七瀬の左頬を愛おしそうに撫でた後、ぎゅうと抱きしめる。

「外に出るぞ。皆(みな)が待っている」

「はい……」


杏寿郎は石室を出る直前まで手を繋ぎ、入り口が近づくと一旦外して先に出る。七瀬は数秒遅れて外に出た。

そこにはニヤニヤしながら腕組みしている天元、顔を少し赤く染めている炭治郎、疑問符を顔に大きく浮かべている義勇がいた。

「無事に献上出来ました。全て終わりましたよ!皆さん、本当にありがとうございます」

「おう、良かったなあ」

「……? 沢渡、顔が赤いのは何故だ?」

「義勇さん、そこは流す所です……」

全部を把握している音柱、全く把握していない水柱、そして音柱と同じように七瀬の心の中を把握している弟弟子にひたすら無言を貫き、家路についたのだった。


時刻は日付がちょうど切り替わる午前零時——

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