第46章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎
四人で石室内に入って来た。七瀬と炭治郎が前を、柱の杏寿郎と義勇は後ろを歩いている。
首塚と聞いて怖さが先行していた七瀬だが、とても綺麗な石室に驚いた。天井も高めで、左右の石壁は人が二人並んで歩いても一メートルの余裕があり、圧迫感を感じない。
それは炭治郎も同じだったようだ。”へー”や”しっかりした造りだなー”と驚きつつも感心している。
「あ、あの石塚がそうですか?綺麗に手入れされていますね」
手持ちの松明を右手に持った炭治郎が、入り口から五メートル程先に進んだ所にある将門塚を照らした。
「一ヶ月に一度は隠の当番に当たった者が二人一組で掃除をしてくれているようだぞ」
「なるほど、これなら将門公も嬉しいでしょうね。私、ここに来るまでずっと怖い所だと誤解していました」
「祟り等の伝承もありはするが、神田明神には”除災厄除の神様”として祀られているからな」
杏寿郎からの情報を聞きながら、再び七瀬と炭治郎は「へえ」や「凄い」などの声を上げる。
「よし、まず将門公に挨拶をしておこう」
「あ、そうですよね」
四人は塚の前に横一列に並び、まずは一礼をする。そして目を瞑り、自分の名前、担当する柱の方角を心の中で呟く。これらは七瀬があまねから届いた文に書いてあったしきたりだ。
因みに塚の周辺には見張りの任も兼ね、天元と数人の隊士が待機している。七瀬が目を開けると、他のは既に挨拶が終わっていた。皆が自分の方を見ており、少し恥ずかしく思う彼女。
「煉獄。周る順番は北が最初で、西が最後だったな?」
それまで黙っていた義勇がようやく石室内に入って口を開く。
「ああ、そうだ」
「中に入っても、始まりは炎なんですね」
「確かに!言われてみればそうだな……」
三度(みたび)感心する炭治郎に、七瀬は気持ちと体の強張りが綻ぶ。
「———では参るぞ」
まずは北の柱の再建からだ。杏寿郎が先頭になり、炭治郎、七瀬、義勇の順番で奥に進んでいく。