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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第46章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎



「壱ノ型—— 不知火」

茜色の刀身から放たれた炎の横一閃で、七瀬は今しがたまで対峙していた鬼の頸を断ち切った。
日輪刀を一振りして、刀に付着した鬼の血液を払い、静かに群青色の鞘に納刀。

「ふう」

柄から右手を離し、シュウシュウ……と灰に変わっていく一メートル先の地面に転がっている鬼の頸を彼女はじっと見つめる。


『この鬼は奥さんと子供を人身事故に巻き込まれて亡くした父親だった。あの女鬼の彼女と言い、人間時に家族だった人達に何かあった ——— 連続して同じような鬼に会うと、また色々考えてしまうな......』


今夜は三ヶ月に一度の単独任務だった。時刻はもうすぐ零時。日付が変わる間際である。

『ここ、確か近くに将門塚があるんだよね。早く帰らなきゃ』
私は鬼の頸が完全に消えた事を確認すると、煉獄邸に帰宅しようと踵を返す。


——とその時。

『七瀬』

その声を聞いたのは何年振りか。
場所が場所なので振り返るのはとても勇気が必要だったが、盆を過ぎたばかりのこの時期である。

つい懐かしくなってしまい彼女は振り返ってしまった。亡くなった兄の声だったからだ。


『血鬼術——— 嫉心の蠱毒(しっしんのこどく)』

目線の先には曙色の一つ目が七瀬の姿を捕らえる。

「あつっ……!!」

それからすぐ左手の甲に火傷をした時のような痛みが広がり、彼女は咄嗟に右掌で押さえた。そこだけがジュワッと沸騰するような熱さだ。時間にして五秒程。フッと急に痛みが無くなる。

「…何だったんだろう……」

再び目線を上げれば、先程見えた一つ目は何処にもない。寒気がした七瀬はもう帰ろうと更に思い、左手の甲を見て”わっ……”と小さな悲鳴を出してしまう。


「これ……蠍座?」

そこには今夜も真上の夜空で輝いている、十五個の点で繋がった星座の焼き印が茜色で刻まれていた。


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