第46章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎
「また君と流星群が観れた」
「はい、今日で二つ目ですね。凄く嬉しいです」
「………」
「………」
沈黙がしばらく続くが、二人にはとても安心出来る空気が流れている。
「流星群は他にもあるのか?」
「ええ、大小様々な物がありますよ。今日のペルセウス座流星群を含めた三大流星群が有名です。残り二つはどちらも冬なんですけど……しぶんぎ座流星群とふたご座流星群ですね」
「そうか。であればまた君と観たい」
「ありがとうございます。冬は空気が澄んでて観測には最適ですけど、寒いのが難点です……」
「そうだな。しかしこうする理由付けにはなるぞ」
「え…?」
七瀬の左手から杏寿郎の右手が離れた……かと思うと、彼は彼女をふわりと包み込むように後ろから抱きしめる。
「急にすまない」
「いえ…嬉しいです」
トク、トク……と背中から伝わってくる彼の心音が心地良い。
回っている杏寿郎両腕の上に自分の両手を七瀬は重ねる。
すると、右耳に彼の唇が当たった。
「あ、まだ言ってませんでしたね」
「何をだ?」
「ご無事のお戻り、何よりです」
「…ただいま、七瀬」
杏寿郎の唇が右耳から頬に流れ、七瀬の左頬が包み込まれると、彼からの柔らかい口づけが届いた。
「湯浴み、しますか?」
頷いた杏寿郎はもう一度口付けをした後、七瀬の両手を持って立ち上がらせる。
「君も来てくれるのだろう?」
「はい」
首を縦に振った彼女は、杏寿郎と手を繋いで浴室に向かったのだった。