第46章 緋星(あけぼし)喰われしその時に、心炎で天蠍を衝け ✴︎✴︎
「杏寿郎さん、あの時は特別だったんですよ」
「特別? どう言う事だ? 七瀬…」
「俺も興味がある。聞かせてほしい」
「あ、七瀬さん。俺も同じく聞きたいです」
七瀬の右隣から二つの日輪が、左隣からは四つの日輪彼女をじいっと見つめて来た。
何だか自分の周りだけ、夜ではないみたいだ。三人の瞳に根負けした七瀬は了承の返事をして話し始める。
「わかりました…」
しし座流星群の母天体である彗星…と言う物が三十三人年周期で太陽の近くに回帰をしてくる為、その前後数年はしし座流星群の出現数も大きく増大する。
「去年が丁度三十三年に一度の時期だったんです。次回あんなに流れるのは三十三年後……いえ、年が変わったから三十ニ年後ですね」
「よもや!」
「三十ニ年後……俺はいくつだ?」
「俺は……今の父上ぐらいでしょうか!」
感心する杏寿郎、将来を案じる槇寿郎、あっさりと計算して明るく発言する千寿郎…と三者三様の反応を見せる煉獄家の日輪達である。
「だから見れた私達は、とっても運が良かったんですよ」
………あの日、七瀬は杏寿郎と結ばれたのだ。
彼女にとって一生忘れる事ができない一夜になった事だろう。
「いいなあ、俺も見てみたいです。今日の流星群にも胸がいっぱいになっていますけど……自分の名前の数だけ星が流れると言う事にとても感動しました」
この千寿郎の言葉にドクン……と七瀬の心臓が大きく跳ねる。