第39章 甘えさせ上手と言われたい ✳︎✳︎
首を後ろに向けるとそこにあるのは、大好きな人の顔。ふっと目の前に影が出来たと思った瞬間、柔らかな口付けが唇に落とされた。
ふふ、嬉しいな。口角が上がると、また一つ彼から口付けが届く。
ゆっくりと顔が離れると、穏やかな表情の杏寿郎さんがいる。
「体もこちらに向けてくれ」
「…」
からだも…か。ゆっくりとした動作で恋人の方を向くと、結合部がまた刺激されて高揚感が増す。淫らな水音が耳に聞こえると尚更それが強くなった。
「君が先程言った事を丁度俺も考えていた。七瀬と話す事も鍛錬をする事も好きだが、こうして互いに何も身に纏っていない姿で触れ合うのは…」
「んっ」
ちうちうと唇を二度程吸われた。本当に彼がくれる口付けはどうしてこんなに気もち良いのかな。頬が大きな両手で包みこまれると、私は自然と笑顔になる。
「やはりかけがえのない時間だ」
「ふふ、杏寿郎さんにそう思って貰えて本当に嬉しいです」
私もこの時間がかけがえないし、とっても大切。自分の裸を見せるのはいつも恥ずかしいけど…。
「すまない、そろそろ動きたいのだが良いか?」
「…はい、あっん…」
彼が下から突きあげる動きをすると、瞬く間に甘い声が出る。
そのまま動きが少しずつ強くなっていくと、自分の口からこぼれ落ちるのは杏寿郎さんを強く求めるしるしだ。
「はっ、七瀬…気持ち、いい…」
「きょうじゅ、さ…ん。わた、しもきも、ち…い、い」
パン、パン、パン、と小刻みに二人の体が打ちつけ合う。肌はもちろん汗も混ざるし、体液も混ざる。
激しい動きが続く。ひときわ強く膣奥を突かれた瞬間、瞳の奥に火の花が弾けた。それからずるりと男根が抜かれる。
「…は、あ…!!」
彼から飛び出した白い欲を、腹部でしっかりと受け止める。私の顔の横に両手をついて、乱れた息を戻す杏寿郎さんは凄く艶っぽい。
とても男らしい彼だけど、情事の時はやっぱりハッとしてしまうぐらい見惚れてしまう。
「どうした?」
「いえ…杏寿郎さんって本当にきれい、だなあって」
「またそれか」