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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第7章 緋(あけ)と茜の初炎武(えんぶ)



「師匠が弟子に簡単に負けるようでは示しがつかんからな!……しかしだ。君も攻撃、防御共に見事だったぞ。呼吸の切り替えはもちろん、やはり壱ノ型の改だな。あれは素晴らしかった!」


杏寿郎からの労いの言葉に七瀬は胸が温かくなる。
「ふふ。ありがとうございます」

「とは言え、体力は更につける必要がある!足が良くなったら、体力強化の稽古を追加するから、精進するように」

「……はい、頑張ります」

『また増えるのかあ……』

もう苦笑いするしかない七瀬は、彼の背中に頭を当てる。

『師範の背中…大きくてあたたかいなあ。すごくすごく……安心する』

心地よい安心感と疲れで、継子はすうっと寝入ってしまった。

「ん?寝たか」

杏寿郎が後ろを振り向いて彼女の様子を確認すると、そこには。

「しはん……いのすけ……ダメ……私のカステラ食べないでください……」
「ははっ!全く……夢の中でも食べるぐらい好きなのだな」



『この小さな体で本当によく頑張ってる。共にもっと強くなろう、沢渡』

杏寿郎はそれまで歩いてた足を早めて、煉獄邸までの道を走り出した。緋色と茜の初めての炎武は、師範の勝利で幕を閉じた。








「お帰りなさい、兄上、七瀬さん!……って、えっ??どう言う事ですか?」

「見ての通り、沢渡をおぶっている!!」

「師範……そうではなくて、千寿郎くんはどうして私がおぶられているのか理由が知りたいのだと思いますよ?」

「む!千、それは真か??」

いつものように兄と継子を玄関で迎えた千寿郎。杏寿郎の天然発言に対し、冷静に突っ込みを入れる七瀬。
それに感心しながら、兄からの問いかけに「はい、そうです」と苦笑しながら返答をした。



『………杏寿郎の継子か。くだらん。どうせ、大した者ではない』

玄関から自室まで届いた三人のやりとりを聞きながら一人ごちた元・炎柱の槇寿郎。その右手にはいつものように酒瓶がある。

数ヶ月後、その「くだらん」とぼやいた七瀬に改心させられる事を彼はまだ知る由もない。





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