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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第37章 夏の小江戸へ君を連れて



「あ、そうだ。何か忘れてたなあと思ってたら…」
「? 七瀬? 今度はどうした?」

今日の彼女はこう言う事が多いな。

「はい、何度もすみません…炭治郎なんですけど」
「? 竈門少年がどうかしたのか?」

竈門少年は先程会ったばかりだが…一体どんな話なのだろう。

死角になって周囲から見えづらいのを先程確認した為、あともう少し彼女との口付けがを楽しもうとしていた。

故に残念だなと言う気持ちが多少ある。
む?七瀬の体が少し後ろに下がってしまったな。

待ってくれ —— と繋いでいない方の左手で、彼女をこちらに引き寄せようとすると、七瀬は自分の右手を俺の左手の上から重ねて来た。

普段あまり多くはない恋人の積極的な行動に、心臓の鼓動がドクンと上機嫌で跳ねる。ゆるやかに気持ちが上昇する中、彼女が口を開いた。


今日は七月十六日。二日前の十四日が彼の誕生日だったそうだ。

「そうか…!それはめでたいな」

「来週、合同稽古ですよね?善逸と伊之助も来ますし、せっかくだから稽古後にみんなでちょっとしたお祝いしませんか? さっきまで一緒にいたのに何も出来なかったから」

「うむ、それはとても良い案だな!是非やろう」

「ありがとうございます!今日もタラの芽の天ぷらを美味しそうに食べてたから、天ぷら作るのも良いかもです。伊之助も大好きですし……」

そう言えば春の時期に天ぷらを皆で食べた時も、一番張り切って食べていた姿が脳内に浮かぶ。

「確かあの時は猪頭少年の誕生祝いだったか…?」

「そうですね。伊之助の誕生日を祝いました」

やはりそうか。では竈門少年も祝ってやらねばな。

「暑い時期に揚げ物は大変だったりしますけど、塩胡椒で食べる美味しさは格別です」

「うむ!楽しみにしておく」

それから新宿駅に着くまでの間、合同稽古の内容について、柱で集まる親睦会が煉獄邸で行われる事、その際に七瀬と時透の勝負を決行する事など、色々な話をしながら俺達は父と弟が待つ家へと帰宅した。



「ただいま、帰りました!!」
「お帰りなさい! 川越は如何でしたか?」
「お帰り、二人共。杏寿郎。お前に提案がある。後で聞いてくれるか?」


父からの提案 —— それは何と。



「光栄です!! こちらこそよろしくお願い致します!」



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