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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第37章 夏の小江戸へ君を連れて




ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン、

季節は梅雨が明けて夏になった。七月中旬の朝、俺と七瀬は今電車に揺られている。

駒澤村から渋谷までタクシーに乗り、渋谷から山手線に乗車。
新宿で甲府鉄道に乗り換え、また次の乗り換え駅である国分寺まで向かっている所だ。

「ねえねえ、杏寿郎さん。風鈴ってどんな感じなんでしょうね?」

窓側の座席に座っている彼女は、通路側に座っている俺に体を向けて話しかけてくれた。瞳にも口元にも期待が隠し切れない様子だ。


「何でも色とりどりの江戸風鈴が境内の両脇をびっしりと埋めているようだ。風鈴回廊と言うらしい」

「うわあ! 絶対綺麗でしょうね! 楽しみ!」

七瀬は俺の言葉を聞き、更に表情が明るくなる。

本日の行き先は東京府の隣、埼玉県の川越氷川神社だ。ご祭神は須佐之男命(スサノオノミコト)である。

ここは父上が非番の際、母上とよく行っていた神社だそうで、縁結びの神様としても有名な場所らしい。

共に行かないかと声をかけると、七瀬はこの時点でなかなかの気分の盛り上がりを見せた。


「間もなく国分寺ー、国分寺ー」

その時、次の駅を知らせる車内放送が響く。

「あ、乗り換えですね」
「うむ!」

彼女がすぐに立とうとする所を自分の右手を差出し、動きを止める。にこりと笑顔になった七瀬は「ありがとうございます」と礼を言った後、左手をゆっくりと載せて来た。

すかさず手を絡める俺だ。
この行為は【恋人繋ぎ】と言うらしい。つい先日任務が一緒になった隊士から教えて貰った。

「炎柱はされた事ありますか?」と気楽に問いかけて来た彼は、最近恋仲になった女子が出来たようだ。

「無論だ!」と当たり前のように返答すると、随分と驚かれた。
「かなり甘いぞ」と伝えると、えええ…と更に目を見開かれる。

……そんなに驚くような事なのだろうか。


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