第7章 緋(あけ)と茜の初炎武(えんぶ)
『不知火にしては腰と足の踏み込みが深い……ならば!!』
「壱ノ型・改 ——不知火・連(しらぬい・れん)!」
「肆ノ型・盛炎のうねり!」
木刀が左に横一閃———
続けて右に横一閃——
素早く振るわれたが、見切った杏寿郎が咄嗟に肆ノ型を放ち、相殺した。
『見切られた!流石師範……まだ甘かったな』
彼女は少し悔しさを滲ませながらも、一度後ろに飛んで木刀を構え直す。すると、杏寿郎も木刀を構え直した。
「よもや不知火の連撃とはな!その前の不知火と合わせて三連撃か!流石に驚いたぞ!……まあ何かはやっていると思ってはいたがな……」
「師範の前では絶対に見せないようにしてたんですけどね。流石です!」
炎柱と継子はお互いに笑い合った —— かと思うと、次の瞬間には互いに表情を戻して、再び闘気を練り上げていく。
今度は杏寿郎が自分がいる場所から素早く踏み込み、木刀を七瀬に打ち込んだ。
カン、カン、カン、カン、カン ——
七瀬は彼の攻めを狂いなく、払っていく。
一瞬の間を見極めて、踏み込んで突きを入れるが、簡単にバシッと払われてしまった。
打つ、払う、打つ、払う、それが続く。
『一太刀一太刀がいつもより格段に重い!これが師範の呼吸…一瞬でも気を抜くと、腕が持っていかれそう』
継子は師範の木刀を一度振り払うと、後ろに素早く下がって、体勢と呼吸を整える。
「—— 参ノ型」
その間に杏寿郎が地面を蹴り、高く飛ぶと間髪いれずに七瀬の頭上から木刀を振りおろす。
「気炎万象」
激しく燃え上がる炎が継子に襲いかかる。
「肆ノ型・盛炎のうねり!!」
七瀬は大きな渦を描くように木刀を振り、杏寿郎の攻撃を回避する。続けてグッ……と右足を踏み込み、向かう。下段から上段に一度振り上げ、杏寿郎の木刀を払った。
そこから破竹の勢いで攻めこんでいく。