第35章 心炎八雲、今宵も甘えて混ざりあって ✳︎✳︎

「辛くはないか？」
「背中に壁があるから……大丈夫です。それより……」

七瀬が俺の左肩を困ったように見つめている。

そこには彼女の右足が乗せられているからだ。硝子窓から差し込む月明かりだけでも、七瀬の真っ赤に熟している顔。

それから互いが繋がっている部分がよく把握出来る。

「……とっても恥ずかしいです」
「恥ずかしい事をしているからな！」

「杏寿郎さんは恥ずかしくないんですか？」
「俺か？」

さて、何と返答しようか。羞恥はあるにはある。しかし、だ。

「恥ずかしさよりも、君がどうしたら心地よくなるか、どう動けば可愛く啼いてくれるか。そちらの方が気になるな」

「……聞いた私が間違っていました」

がっくりと頭を落とす七瀬に笑ってしまう。

「そろそろ動いて良いか？ 君のここもそれを望んでいるようだ」
「……そんな…事…」
「あるぞ」

そろりと蕩けた蜜を指で掬い上げ、触れずともぷっくりと膨らんだ両方の乳輪にそれぞれ塗りつけると、はあと吐息をつく七瀬。

馴染ませるように擦ってやれば体をブルッと震わせ、小さい声で愛らしく啼いた。

「……いじわる、しないで」
「気持ち良かっただろう？」

潤んだ焦茶の双眸は言葉よりも雄弁だ。
これは意地悪ではなく、恋人への労いであり、君が欲しいのだと言う欲望なのだが。

「動くぞ、もう限界だ」
「ん……！！ あぁっ……」

彼女の右足と左腰をしっかりと支えながら、肉棒が抜け出る事のないよう動きを加える。

『立ってやんの、なかなか良いんだけどさ。抜ける事もあっから気ぃつけろよー』

四十八手を教わった時の宇髄の言葉が、一瞬頭をよぎる。

『ま、抜けたとしても沢渡なら馬鹿になんてしねえだろ』

君に言われずとも、七瀬がそんな事をするわけがない！
あの時知ったような口を聞く音柱に、憤慨したのも思い出した。