第35章 心炎八雲、今宵も甘えて混ざりあって ✳︎✳︎

「七瀬」
「は、い……」

尻を撫でていた右手を離し、名前を呼びながら彼女の左頬を包むと ——

「君をこうやって愛でるのは、俺だけだな？」
「……そう、ですよ。あなた、んっ……」

最後まで返答を聞かず、口付けで彼女の言葉を飲み込んだ。
わかっている事でも、何度も確認したくなる。

俺と七瀬は鬼を狩る剣士だ。いつ命を落とすかわからない。

「きょう、じゅ、ろ、さん…」
「……どう、した？」

「だい、好き……」
「俺もだ」

角度を変えながらの口付けを幾度も交わす度に、名前を呼んだり、思いを伝え合う。膝を七瀬の股部に割り入れると、そこは艶やかな欲で溢れかえっていた。

「いいか？」
「えっ、待ってくだ、あっ」

とろとろと垂れている蜜を己の肉棒に塗り付け、彼女の右足をグッと上げた後は入り口から侵入だ。
反り返った昂りを上へ上へと押し進めて行く。

全てはいった瞬間、膣壁がゆっくりと自分を締め付けた。

「俺はどこにいる？ 教えてくれ」
「……ん、」

腹を柔らかく撫でながら右耳を舌で、左胸を指で愛撫すると、結合部からはじわりじわりと透明な液が滴り落ち、俺の膝をまたしっとりと濡らしていく。

「こ、こに…います、よ」
「そうか」

七瀬の右手が該当の位置に当てられると、押し寄せるのは多幸感だ。このままはいっているだけでも心地は良い。
だが、本能が求めるのはやはり ——

「背中も良いが、やはり俺は君の顔が見たい」
「あ、まっ……や！！」

卑猥な水音が響く中、七瀬の体を自分へと向けた。
紅潮した頬ととろんと蕩けた双眸は見るだけで、自分の欲望を強くさせる潤滑油だ。

「気持ちよさそうだな」
「……だって…杏寿郎さんが、ここにいる、から」

先程と同じように腹を撫でる七瀬に満足した後、掴んだ右足首に口付けを強めに落とす。

「今日の私、しるしだらけ……」
「……君の希望だろう？」
「……」

言葉は発さず、じとっとした視線を俺に向ける七瀬は本当にかわいい。