第29章 褒められ日和に、橙が咲く ✳︎✳︎
「はあっ…んっ……ふぅ」
「七瀬、もっと、動いて…良いぞ」
いつの間にか、私は自ら腰を動かしていた。彼の両手は自分の乳房を柔らかく揉み込んでいるだけの状態なのだけど…
「あっ、ちょっ…きょうじゅ、さ」
「すまん、ここがやはり…好みだ」
あたたかな恋人の唇が膨らみへと移動する。ぶくっと丸く成熟している先端は彼に食され、引っ張るように吸い付かれる。
「あっ、やっ……!?」
ジュ、ジュ、と蜜を吸うような動きをされた。片方の乳房も触れられているから、物足りなさはない。
掌でしっかりと揉み込みまれ、先端も二つの指で挟まれる。すると乳輪はすぐに反応した。
段々と彼の体に打ちつけている腰の速度が増していく。
もう絶頂が近そうだ。目の前がチカチカと点滅しているから。彼の首へ回した腕の力が増した。
「七瀬…好きだ」
「んっ、はあ…私も好き……で、あっ……」
「そんなに…締め、るな」
繋がりを保ったまま、畳に押し付けられると私を包むように彼が覆い被さった。位置が変わり、今度は杏寿郎さんが動き出す。
律動を繰り返していた結合部から熱い肉棒が、勢いよく抜かれた。
滑るように出て来たそれはそりかえっており、先端から白濁をビュッと放つ。
二回、三回と私の腹部にかかった後、彼はふうと一つ深い息継ぎをした。
その表情はとても艶っぽく、いつもこの姿を見れるのは自分だけなんだと思うと、自然と笑顔になれる。
それから杏寿郎さんが私の唇と両頬に口付けをくれた。どちらも柔らかい物だ。心地よい愛撫にまた口角が緩む。