第26章 七十ニ時間分の恋慕 ✳︎✳︎
柱の体力は本当に凄い。
苦笑した私は彼に口付けた後、寝巻きを羽織る。腰を押さえながら準備をしてくると伝え、部屋を急ぎ足で出て行った。
三日離れてみてよくわかった。
杏寿郎さんと体を繋げる行為は、彼と会話するのと同じくらい大切な物だと言う事を。
「杏寿郎さん。準備出来ましたよ、行きましょう」
「うむ! ありがとう!」
彼の部屋から浴室までの距離はそう遠くはないけど、恋人は私の手に自分の手を絡めてくれた。
少しの時間も離れたくないって思っているのかな。だったら私もだから、この行為はとても嬉しい。
湯浴みを済ませた私達は、結局朝まで三日分の思いを伝え合う結果となり、心と体の結び目がほどけないように、またしっかりと結び直した。
もう絶対大嫌いなんて言わない。かけがえのない彼を二度と悲しませない。
私は改めて心に誓った ——
✳︎七瀬から見た景色✳︎
〜終わり〜