第26章 七十ニ時間分の恋慕 ✳︎✳︎
「このままでも……凄く気持ち良いけど……」
「ああ、俺も大層気持ちよいぞ」
顔から手を離されて腰から脇を撫でられる。すると私の体はビクッと震えてしまう。
「動いても良い、ですか?」
「無論だ。是非そうして欲しい」
「ふふ、わかりました」
口付けを一つ贈った私はゆっくりと腰を揺らし始め ——
★
「杏寿郎さん、私凄く困ってるんですけど……」
「ん? 困ってるとは何だ? 詳しく聞かせてくれ」
恋人の欲を口・腹・背中で受け止めたのだけど、彼は足りなかったのか、それらをもう一回ずつ繰り返した。
今は布団に隣りあって横になり、私は後ろから杏寿郎さんに抱きしめられている。
「六回体を繋げても満たされなくて……でも体はとっくに限界なんです」
「俺も正直まだ足りん! だが、君の体も大切にしたい。湯浴みに行ってスッキリしないか?」
「それはもちろん賛成ですけど……湯浴みは湯浴みだけしましょうね」
「む……そうだな」
「やっぱりしないとは言わないんですね」
「いや! 今回はしな……むう」
「わかりました! 良いです、無理しないで下さい」