第26章 七十ニ時間分の恋慕 ✳︎✳︎

「ん……」

「……はぁ……」

彼からのいつもの口付けだ。でも吸い付かれる回数が多い気がする。

「ん、杏寿郎さん……これだけで、もう気持ち良い……です」

「同じだな……俺もだ」


たかが三日、されど三日。待ち望んでいたのは私も同じだ。彼の舌が深く深く、入り込んで来る。

先程とは違い、ゆっくり丁寧に絡めてくれるけど、何と言うか濃厚と言うか。ぴちゃ……と絡み合う音と一緒に、私の口から透明な雫が静かに流れ落ちた。
そして彼の唇が首、鎖骨と流れるように動いていく。

「ん……」

「開くぞ」

着ていた着物の合わせ目をゆっくりと開かれる。私の鎖骨から両方の膨らみがあらわになった。

特別大きいわけでも小さいわけでもなく、平均点と言う言葉がちょうど良い自分の胸。でも杏寿郎さんは「それが良い」と言ってくれる。

彼の掌にちょうどよく収まる膨らみは今日もグッ、グッ、と柔らかく揉まれ、形をゆっくりと変えていく。


「あん、気持ちい……」

「む？」

「どうしたんですか？」

「いや、気のせいかもしれないが……君のここが少し大きくなった気がする」


え？本当に？？？

「それ、かなり嬉しいです！それで杏寿郎さん……私、前に聞いた事があるんですけど」

「ああ、どうした？」

「女の人の胸って……好きな人に触ってもらうと大きくなる、らしい……ですよ」

そう告げると、彼はちょっとだけ嬉しそうな表情を見せてくれた。


「良い事を聞いた。では……」

「あっ、もうダメですよ」

恋人は私の二つの膨らみを更に揉んでいく。包んでくれる掌があたたかく、心地いい。

ちょうど良いと言ってはくれても、やっぱり少しでも大きい方が良いのかな。それが男心と言うものなのだろうか。


「んっ……あん」

揉まれるばっかりに気を取られていると、尖りが口に含まれる。もう一つの尖りはきゅっと彼の親指と人差し指につままれてしまった。