第21章 可愛い君、かわいいあなた ✳︎✳︎
グチュ、ヌチャと沼にはまったような水音が耳に入る度に、彼の肉棒が大きくなる。
大きな両手は私を離すまいと、腰をしっかり掴んでいる。互いの汗で杏寿郎さんの腰にまきつけている足が滑りそうになるけど ——
「はっ、七瀬…気持ちいい、ぞ」
「ん、良かっ…ふう、った! ああ、ん!! 」
気持ちいいって思ってくれるなら、踏ん張らなきゃ。
そう意識した瞬間、膣壁が更に彼の肉棒に絡みつく。きついけど…離れないようにしないと!
「んっ、はあ、共に……果てよう…」
「は、い! ああ、そこ良すぎ、で……」
「ああ、俺も…んっ、ここが好き…だ……!! 」
ズルっと昂りが私の中から出たと同時に、恋人の体に絡みついていた両手と両足からふっと力が抜ける。
勢いよく落ちそうになったけど、杏寿郎さんが腰をしっかりと支えてくれた。
絶頂を迎えた瞬間でも、私を気遣ってくれる彼の優しさに一瞬笑顔になる中、二回、三回と白く濁った恋人の欲が放たれた。
「はあっ、はあっ…杏寿ろ、さん」
「ああ……どうした」
達した後、そっと布団におろしてくれた彼に右手を伸ばすと、恋人の左手がそこに絡められた。早く伝えたい。凄く良かったって。
「いつも…あなたと繋がるのって……本当に、はあ……」
「少し呼吸を整えた方が良い。その間に俺はこれを拭こう」
「はあ、はあ…はい」
右手に一粒、彼からの口付けが落ちた瞬間、胸がトクンと小さく跳ねた。ささやかな愛撫だけど、波が広がるように満たされる。
ふう、ふう、と呼吸を整えていると、左頬にあたたかな温もりが訪れた。
杏寿郎さんの右手だ。