第21章 可愛い君、かわいいあなた ✳︎✳︎
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「んう、杏寿ろ、さん。もう……そこばっかり、あ…んん」
一時間後、彼の部屋にて。
昼食を食べた私は「おあずけ」を受け取る為に、杏寿郎さんと肌を重ね合わせていた。先程からずっと同じ所ばかり触れられているのだ。
「君のここに触れるのが、特に俺は好きでな。諦めてくれ、男の性だ」
湯浴みの時と同様、恋人は私を後ろから抱きしめ、二つの膨らみに掌を這わせている。
私の胸の大きさはそこまでではない。だけど彼はとても気に入ってくれているようで、情事の時に最も触れられる回数が多い。
「あ、ん……ダメ、それは……」
「七瀬」
「やっ、もう……」
乳輪がきゅっと複数回つままれると、そこは恋人からの愛撫に応えるようにいつも固く質量を増してしまう。
「きょ、じゅ、さん…こするの、は……ああっ」
「何故だ? こんなに反応していると言うのに……」
「あっ! や、ん」
二つの尖りが大きな親指の腹で擦り付けると、一層甲高く喘いでしまう。瞬間、くるりと自分の体が彼の方に向けられた。
満足そうに笑顔を浮かべた杏寿郎さんを少しだけ睨むのだけど…。
「もう……意地悪ばっかり。あっん……」
「君も喜んでいた、はぁ……だろう? 意地悪とは心外だなあ」
ちう、ちう、と二つの突起を口で吸われてしまい、また自分の喘ぐ声が彼の部屋に響いていく。
「うむ! やはり愛いな、君は」
「んう……そう言えば良いって、いつも…は、あっん! 思っ……」
杏寿郎さんは私に対して「かわいい」や「愛い」を伝えれば、大概は許される ——— そんな思いを抱いているのかもしれない。
ちょっと癪だけど、これは合っている。
実際彼に褒めてもらうと本当に嬉しいし、心も芯からあたたかくなるもの。