第21章 可愛い君、かわいいあなた ✳︎✳︎
「まだ君と二人でいたい」
「杏寿郎さん、それは嬉しいのですが……お腹空いてません?」
「うむ。思い切り空いている。お預けは辛いのだが……」
「お預け……?」
お預けとは。
彼女の顔に疑問符が浮かび上がる。しばし逡巡する七瀬だったが、あっと合点がいったように声を漏らした。
「あの、お芋もふかして来ますから行かせて下さい」
「む……そうか」
さつまいも。
俺の大好物だ。ふかし芋はこの寒い季節にぴったりである。性欲も食欲も自分の中でせめぎ合っていたが、今この瞬間は食欲に軍配が上がる。
名残惜しさを漂わせつつ、彼女の体から両腕を外した。
「美味しいの、作ってきますね」
「ああ。楽しみに待っている」
ちうと音を響かせ、唇に口付けをくれた七瀬は嬉々として厨(くりや=台所)へと向かう。
★
「んう、杏寿ろ、さん。もう……そこばっかり、あ…んん」
一時間後、自分の部屋にて。
昼食を食べた俺は七瀬とまぐわうべく、彼女と肌を合わせていた。
先程から甘い声をずっと聞かせてくれる恋人に、自分の性欲は高まるばかりである。
「君のここに触れるのが、特に俺は好きでな。諦めてくれ、男の性だ」
湯浴みの時と同様、七瀬を後ろから抱きしめ、柔い二つの膨らみに掌を這わせている。
恋人のそこの大きさは然程でもない。しかし弾力があり、とにかく触り心地が良いのだ。
自分の掌で覆える乳房が、自分の動き一つで形を変える。
「あ、ん……ダメ、それは……」
「七瀬」
「やっ、もう……」
乳輪をきゅっと複数回つまんでやると、そこは俺の愛撫に応えるようにいつも固く質量を増す。
「きょ、じゅ、さん…こするの、は……ああっ」
「何故だ? こんなに反応していると言うのに……」