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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第19章 スサノオ・アマテラス・ツクヨミと大蛇(おろち) ✴︎



「血鬼術——」
「火炎旋回(かえんせんかい)」

線状になった炎が杏寿郎目掛けて、三度(みたび)自分の周囲を回るように向かって来る。


『先程からこの旋回の動きが非常に多いな…』

「壱ノ型 —— 不知火!」

彼は一度腰と膝をグッ…と落とすと、その反動で地を蹴った後に一閃の炎の斬撃を放ち、向かってきた血鬼術を掻き消した。


「流石は炎柱と言うだけあるな。おもしれぇ!! 俺は夕葉様と同じ炎の属性。選ばれた存在なんだよ。人間にも同じ炎を使える奴がいる……倒しがいがあるってもんだ」

「夕葉とは誰だ…?」


「俺が最も尊敬している、お方の名前だ!! 血鬼術—— 」

掌に人魂をボゥ……と灯す焔だ。


「烈火の刺突(れっかのしとつ)」

その青白い炎が槍のように細長くなり、杏寿郎に向かって放たれた。

『ふむ、ここは我が弟子が編み出した型だな……』

再び呼吸を整えると、炎柱は下半身により力をいれて、深く踏み込んだ。


「壱ノ型・改 ——— 不知火・連!」


左に一閃、右に一閃。
七瀬が杏寿郎との特別稽古で放ったものより素早く赤い刃が振るわれ、そして勢いも数倍増した業火の連撃が炎の蛇を襲う。


「ぐ……はっ……」

焔は杏寿郎が放った強力なニつの斬撃を避け切れず、胴から鮮やかな血を滴り流した。斬られた所が焼かれたように熱い。

ボタ…ボタ……と流れる血を抑えながら、ゆっくりと片膝をついていた状態から立ち上がる。


「くそ……」

『おい、もう良いからとりあえず戻って来い』

蛇の脳に主からの声が届く。彼はスウッと姿を消して杏寿郎の目の前からいなくなった。


「消えたか…ん? 空気が少し軽くなったな」

炎の柱は炎刀に付いていた血飛沫を一度振って落とし、静かに元の鞘に納刀すると周りを見回す。


「杏寿郎さん……!!」

すると、後方から彼を呼ぶ声が聞こえた。


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