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沈まぬ緋色、昇りゆく茜色 / 鬼滅の刃

第18章 始まりは日であり、炎は派生である 〜元炎柱・煉獄槇寿郎〜



女の両の目尻からは涙がはらり、はらりと一粒ずつ流れた。

「出過ぎた事をしてしまって……ひっく、申し訳ありません」

ズズズと鼻を啜り、こぼれた涙を手の甲で拭いながらも言葉を止める事をやめない。
この女は一体何なのだ。

どうして俺から逃げない?
どうして俺に話しかけるんだ……!

どうして………!!!



「師範は…今槇寿郎様が話して下さった事は全く知りません。炎柱の書は読まないのか、と以前聞いた事があります。その時言ってました。読んでないし、今後も読むつもりはないと。だから痣の事なんて師範は知らなくて良いと……私は思います」


「何故そのように思う……杏寿郎も炎の呼吸を継承した剣士だろう」

ぶたれた左頬はまだ痛いが、カッとした腹の中は先程よりは落ち着いている。
彼女の発する言葉に耳を傾ける余裕が少し出来て来たのは何故なのだろうか。


「師範は二十歳とお若いですが、判断力と洞察力に凄く秀でています。柱だから当たり前だ、と言われてしまえばぐうの音が出ないんですけど。一般隊士の私がどうあがいても追いつけない力を……私が欲している物をたくさん持っているんです」


杏寿郎が羨ましい。
どんなに努力しても追いつけない。型の応用技を編み出しても、それ以上の地力が息子にはあり、超える事が出来ない。


「痣が出なくても、痣に頼らなくても。きっと師範は十二分に戦える剣士です。それぐらい強いと思います」

それから ——
先祖に痣が出なかったのは、煉獄家が炎柱を多数送り出している事も関係しているのではないか。

そんな推測を俺に問うて来るのだ。


「痣を出した方達は若くして亡くなっているんですよね?煉獄家は代々炎の呼吸を受け継いでいます。痣を出してしまうと、呼吸の継承が出来なくなる可能性が高くなってしまいます」

「だから……先祖には痣が出なかったと、君はそう言いたいのか」


「はい、そう考えると何だか腑に落ちるなあって」

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