第13章 浅緋(あさあけ)、君に口づける ✳︎✳︎
「はあ、気持ち……い……」
パン、パン……と体が打ちつける音を聞きながら、彼女がそう言ってくれる。
ではもっと、気持ちよくなってくれ。
恋人の中からスルッと男根を引き抜き、ゆっくりと七瀬を起こして自分の太腿の上に乗せる。
そしてピンとそり立つ己の昂りを、彼女の蜜壺に挿入した。
全て入った事を確認した俺は、下からグッと力を入れ、彼女の奥を一度突く。
「あん……!!」
七瀬から一際大きな声が出た。
俺しか知らない、俺しか聞けない、とても愛らしい音色だと思いたい。自分だけの為にその心地良い響きをもっと、もっと……伝えてほしい。
だから ———
「……君も動いてくれ」
恋人を上目遣いで見上げながらそう言った。彼女の焦茶の瞳が大きく見開く。君が俺の目をとても気に入ってくれているのと同じように、七瀬、俺も君の瞳が好きだ。
「はい……」
彼女が俺の両頬を柔らかく包み、口付けをしながら腰を上下に動かす。上の入口も下の入口も君と繋がるこの感覚。離れたくない。出来ればずっと繋がっていたい。
「あ……もう限界……です…」
「俺はまだ足りないな……」
七瀬、申し訳ない!
彼女の腰をしっかりと掴み、律動を更に更に進めていく。
「くっ……これはいかん……」
はあっと息をはくのと同時に、七瀬の中から男根を抜いた。
そして己の白濁を、じわっと彼女の腹に一回、二回、と吐き出す。
下に敷いてある布団にもその白い欲がポタリ、ポタリ、と数滴落ちていった。昨日の夜と同じように懐紙を使い、彼女の腹部を丁寧に拭きとった。そして、恋人をじいっと見つめる。
「……どうしたんですか?」
七瀬がこちらに笑顔を向けてくる。
その姿を見た途端、愛しさがグッと溢れて前から彼女を抱きしめた。
「杏寿郎さん……?」
「君はやはりかわいい」
七瀬が俺の背中にそうっと腕を回す。改めて思う。顔も体も性格も、可愛らしい所ばかりだ。