第13章 この心にいつも浮かぶのは
「お似合いですよ。」
「本気で言ってる?凄く美人なんだけど、私より勇ましいし・・・嫉妬深いんだよ。自ら物理的に、邪魔者は排除するくらいに・・・。」
「やはり、お似合いですね。」
私をジト目で見る皇子。
「そんなに誉めるなら、女神の代理人とあの公女を取り換えない?」
「女神の代理人は、もう私の妻です。諦めて下さい。」
式当日に何ってことを言うんだ、この皇子は。
「冗談だよ、ルーチェス王子。あんな勇ましい王女だけど、最近、ちょっぴり可愛いなって思ってるんだ。」
意外な台詞だ。そうか、強い女性に手綱を握られるのが、好きなのかもしれない。
「そうですか。今の言葉は聞かなかった事にします。」
「ありがとう。あぁ、お幸せに。」
振り返ると、曲がり角から顔を覗かせているカオリがいた。
「こんな場所で、声を掛ければ良かったのに。」
「あの皇子・・・ルー様が許しても、私は許しません。」
珍しくご立腹らしい。だが・・・
「怒っているカオリも、愛らしいな。増々、惚れ込みそうだ。私をこんなにも惚れさせてどうするつもりだ?」
憤慨していたカオリは、真っ赤になって私を見上げている。
「ルー様は・・・ズルいです。そんな風に言われたら、怒れないじゃないですか。」
「いや・・・カオリの頭の中に、私以外の男が存在するのは芳しくないのだが?」
「えっ?あ、わ、忘れました!!ルー様のことしか考えていません。」
途端に慌てだす・・・本当に愛らしい。
「さぁ、宴に行こうか。皆が待っている。」
純白のウエディングドレスから、私の瞳色のドレスに着替えたカオリを伴いパーティーに参加する。
結婚しても尚、私に群がる令嬢たち。始めは機嫌を損ねていた様だったが、私が愛の言葉を囁き幾つもの口付けを繰り返せば・・・首筋まで赤く染めた。
その様子を見て、今度は男共がカオリに熱い眼差しを向ける始末。それも、一睨みすれば視線を下げたが。