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私の異世界転生生活

第12章 もう一つの選択肢


あの羞恥の時から、幾日か過ぎた。

城の中が騒がしかった。その時の私は、ルー様の部屋で読書中だったのだけど。突然現れたのは、オリバー様ではなくルー様。

妙に顔色が悪い。

「今、私に魔法を掛けた魔法使いを見掛けたと連絡が入った。」
「魔法使いですか?」

その情報を切っ掛けに、魔法使いの捜索が行われた。だが、何日過ぎてもいい返事は聞けない。そんな中、あれだけ探しても見つからなかった魔法使いが自ら出頭してきた。

全身真っ黒なローブに、長い髪は燃える様に赤い。でも、魔法使いが何か呪文の様な言葉を唱えるとその容姿が変わった。

誰もがその変化に驚いていたが、一番驚いたのは私だろう。

「どうして貴女が・・・。」
「お久しぶりね、アオイさん?」

薄気味悪く笑みを浮かべたその魔法使いは、あの赤女だった。少し離れた場所にいたのに、気付けば直ぐ傍に立っていた赤女。

でも、私ではなくルー様を見ている。

「あのバカ王女の願いを聞く為だったけれど、私が欲しくなっちゃったのよねぇ。だって、今までの貴女のどの相手より、綺麗な顔立ちじゃない?だから、あんな魔法を掛けて人払いしたのよ。だから、今回も貴女から貰ってあげる。それと合わせて、女神の代理人の役もね?」

ルー様が、私を背に庇う。

「あら、紳士なのね。増々、欲しくなっちゃうわ。さ、私の元に来なさい?これからは私が可愛がってあげるから。」

ルー様は、動く素振りすらなかった。

「・・・そう言えば、王族に魅了は効かないのだったわね。でも、今の私はただの魔法使いじゃないの。生餌を得られたから、今までの私とは違うわよ?さ、ルーチェス。私の元へ来なさい。あぁ、そうそう。その前に、貴方の手でアオイを始末しなさい。命令よ。」

それでも、ルー様は微動もしなかった。

「何をやっているの。私の命令に従いなさい!!」
「生餌とは何だ?」

それは、静かなルー様の声だった。

「あぁ、その事?あのバカ王女の心臓よ。たっぷり負の感情を蓄えた新鮮な心臓。禁忌の魔法だけど、私の魔法使いの力を高める為と女神の代理人としての力を得る為に必要なの。」
「負の感情を蓄える為に逃がして、そのままにしていたのか。だが、女神の代理人としてはどうにかなるものではないだろう?」

赤女はニヤリと笑う。

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