第12章 もう一つの選択肢
ひょっとして、あの赤女は元々この世界の人間だったのでは?元の世界で魔法が使えて、更に効くのかは分からないけれど・・・ひょっとしたら?
そして、この世界に来ることを知っていたとすれば、赤女の自殺行為も分からなくはない?ならば、私をどうしてこの世界に?
「私が傍にいるから、そう憂うことは無い。」
「はい、ルー様。信じます。」
「あぁ、その信頼を違えることは無い。」
昨晩見た赤い何か・・・見間違いではないと考えている。思い出すと限りなく怖くて仕方ない。
「表情が冴えないな。」
ルー様の顔が近い。
「私の頭の中を見せられたら良かったのだが。あ、だが・・・邪な思いも見られるのは失望されてしまうかもしれない。」
「よ、邪な・・・?」
「言っただろう?私はただの男だと。」
一瞬で、顔に熱が籠る。
「たくさん愛したいと思っているのだが・・・。」
ルー様が更に詰め寄って来る。私の首筋に顔を埋め触れたかと思えば、小さな痛みを感じた。
「これを、もっと色んなところに付けたい。あ、私に付けてくれてもいい。私がカオリのものだと、周りに知らしめられるからな。」
痛みを感じた首筋は、何をされたか分からないほど子供ではない。でも、羞恥でプルプル震えていると、ルー様は吸い込まれる様な瞳を私に注いだ。
「付けてくれないか?」
「えっ?」
ルー様が、自身の首筋を差し出して来る。
「そ、そんな事・・・みんなに見られたら・・・。」
「ならば、見えないところで我慢しよう。」
シャツを指で下げ、他に選択肢がない私は・・・出来心で、ルー様の鎖骨辺りにキスマークを付けた。
「ん?一つでいいのか?ほら、好きなだけ付けろ。」
もう、おかしくなってしまっていた私は願われるがまま幾つかその動作を繰り返した。
・・・アレ?
ルー様のシャツが開けていて、目の前には幾つもの赤い痣が。これ、私が付けたの?いつの間に?
チラッとルー様を見れば、視線が合わさる。フッと口元が緩んだかと思えば、荒々しいキスが降って来た。
でも、最後の一線はルー様の細やかな理性で越えることはなかった。残念半分、安堵半分。
ただ・・・
「・・・抱きたい」
ルー様の声は、駄々洩れだった。