第11章 デート
「やはり、女神の代理人の力は凄いな。私以上に女神様はカオリに過保護だ。」
呑気なことを言うルー様。
「ほ、本当にこの者が・・・。」
「貴様は、明確に女神の代理人に危害を加え様とした。災いがアレだけで終わるとは思わぬ事だ。そして、我が王族からもこの罪を糾弾する。」
ルー様の瞳孔が開いている。ちょっと怖い。そもそも、王族からの糾弾って、もう終わってない?明るい未来ないよね?あ、さっきまで意気揚々と私を睨み付け、扇子で殴ろうとした令嬢がお漏らししたっ!!そして、そのまま倒れちゃった。
どうやら、この緊張感に耐えられなかったらしい。そして、取り巻きの令嬢たちは無関係だと言うかの様に離れたが、ルー様はそんなトラ軍団の皆さまにも等しくお怒りの言葉を投げていた。
中々の阿鼻叫喚の中、ルー様に背を押され店から退出。その後は、敏腕小姑が対処してくれるらしい。ルー様より辛辣で容赦ない断罪の時間となるのは明確だった。
「ルー様、馬車の事は・・・。」
「ん?女神様の怒りなのは事実だ。例え王族の私でも、カオリに無体な事をすれば等しく罰を与えられる。まぁ、そんなことは無くとも私がカオリに無体を働く真似はないがな。」
ちょっと待って?女神様の怒りって・・・本当なの?
「初めて会った日に、書物を見せたのを覚えているか?アレには、続きが書かれていた。」
「どんな事ですか?」
そう言えば、文字が必要な時に増えると書いてあった。すっかり忘れていた。
「カオリを愛しみ大切にすれば、国は安泰で私は・・・幸福に包まれるらしい。事実、今の私は初めて体感するほど幸福を味わえている。」
アレ、ルー様・・・ハニかんでる?何か、耳が赤い。
「そ、そんなにルー様は私を・・・。」
「愛している。だが、幸福になる事が分かったからではない。その文字を読む前から、愛していたからな。」
何か、顔も赤くなって来た様に見える。えっ、ルー様赤面してる?
「あまり見てくれるな。気恥ずかしい。」
「ルー様は、どんな時でも素敵です。どんなルー様も見ていたいです。だから、目を背けるなんて勿体ないことは出来ません。」
「ならば・・・。」
あ、抱き締められた。物理的に見えなくされてしまった。そして、ルー様の心音が早い。本当に照れているのが分かる。