第11章 デート
その後は、市場を覗いたり買い食いしたりと、一般人が楽しむ様な体験が出来て楽しかった。
でも、そんな私たちに絡んで来たのは・・・ガラの悪い冒険者風情のトリオだった。私を背に隠し、対峙するルー様。
「何か用か?」
「いやぁ、随分羽振りが良さそうだと思ってな。俺たちにも分けてくれないか?」
「有り金と、その女を置いて行けば、男の方は助けてやらなくもないぜ?」
あ、何か切れた音が聞こえた気がする。ルー様って、こんなに沸点が低い人だったっけ?
「断わる。」
「なら、仕方ないな。ちぃっとばかり痛い目に合って貰わねぇとな。」
向かって来たトリオは、アッサリとルー様に殲滅された。負けるとは思っていなかったけれど、こんな簡単に身の危険が直ぐ傍にあると言うことを目の当たりにして怖くなった。
無意識に、ルー様にしがみついていた。
「・・・こうも素直に抱き付かれると、嬉しくて堪らないな。」
ルー様の心の声が駄々洩れだった。その事で、状況に気付きそっと離れ様とすれば・・・苦しい程に抱き締められた。
「もう少し、カオリの柔肌を堪能させてくれ。」
な、何っ!?私の柔肌って!!
「大丈夫だ、私が傍に居る。それに、見えないが近くに護衛もいるから安心していい。」
「助けてくれてありがとうございます。」
「私は当たり前のことをしたまでだ。」
真顔のまま、私の頭に頬刷りしているルー様。さっきまで、トリオたちを恐々みていた周りの人たちも、そんな私たちを見て微笑ましそうだ。
何これ・・・恥ずかしい。
「ほら、もう少し見て回ろう。」
「はい。」
市場を出てから、他の街並みも散策。どうやら、貴族が訪れるエリアらしく、お店の並びも豪華だ。そして、必然的にルー様に熱い眼差しを向ける女の子たちもいる訳で。
「カオリ、少しここで休もう。」
連れられた先は、貴族御用達の茶店。シンプルなカップケーキと、紅茶をオーダー。味は良い。ただ、シンプル。
「カオリが考案したケーキと比べると少々物足りない見た目だが、味は悪くないだろう?」
「はい、美味しいです。(シンプルですけど)」
「色々と発案してくれているが、あまり無理しなくていいからな?私はカオリが居てくれるだけでいいのだから。」
甘い言葉だけど、真顔だ。でも、ルー様だから良い。そう言えば、表情の変化が増えてきた気がする。