第11章 デート
そう、初めてルー様に合った日に貰ったものも魔道具だ。それは、今もちゃんと私が身に着けている。元の世界には存在しないものなので、興味津々。
ルー様の手をしっかり握ったまま、辺りをキョロキョロ。
「ルーチェス様、ようこそおいで下さいました。こちらが、承っていた魔道具でございます。」
ルー様が何かの箱を受け取っては、ポケットに仕舞い込んだ。
「世話になった。」
何処からどう見ても、魔道具だけどその前に宝飾物だと思われる。えっ、誰かにプレゼント?誰に?気になったものの、それを言葉にして聞くことは出来なかった。
若干モヤモヤしたまま、次に向かった先はたくさんの花が咲いた眺望のいい公園だった。
「カオリ、どうかしたのか?」
「えっ?どうもしていません。」
「だが、表情は冴えない様に見える。城下町はつまらなかったか?」
慌てて顔を横に振る。初めてのお出掛けだ。でも・・・気になるものは気になる。
「カオリ、私の我儘を聞いて貰えるだろうか?」
「えっ、ルー様の我儘ですか?」
ルー様は、ポケットからさっきの箱を出した。箱の中身はネックレスとピアス。ルー様の瞳の色と同じ宝石が付いたものだ。
「私はどうも、カオリのこととなると正常な判断が出来なくなるらしい。だから・・・そんな心配症の私の為にも、この魔道具を受け取ってくれないか?」
「私の安全の為ですか?」
「それもあるが・・・私の心の安穏の為でもある。さっきの婚約指輪は、過分だと思っていたのだろう?だが、これなら日常的に使用してもいいと思ってくれるのではないかと思ったんだ。結婚指輪は、カオリの心の負担にならない様に検討する。だから、どうか受けってくれ。」
ルー様は色々と考えてくれていたらしい。そして、私の機微にも気付いてくれていた。
「ありがとうございます。」
「私が付けても?」
了承すれば、ネックレスとピアスを付けてくれた。
「これは、どの様な効能があるのですか?」
「ん?まぁ、色々だ。」
あ、濁された。きっと、凄い効能があるのだろうな。付与する効能が多い程、高価だと聞いたことがあるのだけど。それに、きっと問いただしても話してはくれなさそうなので諦めた。
貢がれるがまま、今日はルー様からたくさんの贈り物を受け取った。ルー様の心の安穏の為と言われたら断り切れなかったのが理由だ。