第11章 デート
「改めまして、カオリ様。私のことは、メリアスとお呼び下さい。」
私の目の前で膝まづくイケメン。洗練された身のこなしからして、高位の貴族。ルー様は、一体私にどこまで過保護なの?
「今日は、城下町の護衛をさせていただきます。」
「よ、よろしくお願いいたします。」
あ、メリアス様がニコッと微笑んだ。素敵な笑顔だけど、私はルー様がいい。今は普段の無表情だけど。そして、いつもの如く私を見ている。
「では、参ろうか。」
「はいっ!!」
笑顔で元気よく返事をすれば、ルー様と共に城下町へと出掛けることになった。ワクワク感半端なくどんなところに案内してくれるのだろうと待ち侘びていると、馬車が止まった。
先に降りたルー様が、私にエスコートの手を差し伸べてくれる。本物の王子様のエスコート。何となく気恥ずかしくなって、モジモジしてしまう。
降り立った場所は、繁華街から少し離れた一角。私の安全はルー様が握っていると言っても過言ではないので、ルー様の手は絶対に離さない。
「先ずは、私の行きたいところに付き合ってくれ。」
「分かりました。」
どんなところに向かうのかと思えば、王族御用達の宝飾店だった。目が潰れそうなキラキラした宝飾が並ぶ中、ルー様は店員に声をかけていた。
奥の部屋に案内され、私の目の前に差し出されたのは・・・何処かの国の身分もお金も何もかも持ち合わせている人が購入する様な大きな宝石の付いた指輪だった。
そう言えば、ルー様は王子様だったっけ。
「これは?」
「婚約指輪として用意したものだ。」
「・・・はいっ!?こ、こ、婚約指輪ですか???」
「気に入らなかったか?」
そういう話しではない。キラキラ過ぎて、半分くらい目が潰れてたかもしれない私。それほどの宝石が付いた指輪が婚約指輪?
どうやら、私の為に作られた世界に一つの指輪らしい。唖然とする私に、ルー様はその指輪を嵌めてしまった。
「綺麗・・・。」
「気に入ってくれた様で何よりだ。」
って、そういう事じゃない。こんな立派なものを一般市民の私が貰うには敷居が高い。そして、指が重い。どう見ても、日常で付けるものではない。
想像以上の展開に付いていけていない私。
「では、次に行こう。」
まだ立ち直れない私を、次へと誘うルー様。そして、次の店は魔道具のお店だった。