第11章 デート
「失礼ですが、ルーチェス様の元へと案内しているが故、今度にして頂きましょうか。」
「貴様に聞いているのではない。」
おぉぅっ、敏腕小姑相手にこの言葉。仲はよろしくない様だ。更に、私の方へと近づこうとして来たがオリバー様が立ち塞がった。私からの立ち位置では見えないけど、睨み合っている気がする。
「まだ、こんなところにいたのか。待ちくたびれたから、迎えに来た。」
「ルー様っ!!」
とてもいいタイミングに、私は安堵の息を吐いた。
「すまなかったな、一人にして。心細かったか?」
「はい。」
素直に頷いて見れば、ルー様は心なしか嬉しそうな顔に見えた。そして、私の肩を抱き寄せ、頭にキスを落とすルー様。
「所要があってな。カタは付いたから、今から予定通りに向かおう。」
「大丈夫なのですか?」
お出掛けしても・・・とは言葉にしなかったが、ルー様は目を合わせて頷いてくれたので、つい笑顔になってしまった私。
次に視線を武官の人へと向ける。心なしか、目つきは鋭い気がする。抱え込まれた私は、武官の顔は見えない。
「何用だ?」
「偶然お見掛けしましたので、ご挨拶をと思いまして。それと、先日のお願いを聞いて頂きたく。」
「その話しなら、別の者に決定した。」
「別の者とは?」
丁度その時、涼やかな声が聞こえた。
「お迎えに上がりました、ルーチェス様。」
現れたのは、これまた初対面の人。長い銀髪をなびかせ青い瞳の印象的な美男子だった。あれ?何か、誰かに似ている様な・・・そこで、思いつく。
「第二騎士団副団長、メリアス=クリアと申します。従兄弟であるオリバー共々、よろしくお願い致します。」
あ、オリバー様の従兄弟だった。道理で、誰かに似ていると思ったら・・・。それより、さっきの武官の人は放置?
その人を見ると、目を見開いて驚いていた。
「どうして、貴方が・・・。」
「可愛い従兄弟に頼まれて断わり切れなくてな。それに、私なら誰かをあわよくば家門に引き入れ様など画策する相手にも引けを取る心配もないだろう?」
あ、武官の顔が引き攣った。ひょっとして、誰かって私?引けを取らないって事は、身分もかなり高い人なのかな?
「し、失礼します。」
あ、引き下がった。う~ん、オリバー様の従兄弟ってことは・・・きっと、敏腕騎士なのでは?第二騎士団の副団長だもの!!