第8章 嫉妬も罰も適量に
ルー様は、安定の無表情で戻って来た。そうか、ルー様にとっては準備運動くらいの出来事なのね。
でも、怪我とかなくて一安心。
と言うことで、過大に誉めそやしておいた。何となく、魅惑ボディの令嬢たちの為にもその方がいいと思ったから。
その後は、他の騎士の人と訓練が続く。その姿にうっとりと見惚れる女性隊員の皆さまたち。
「おや、天気が崩れて・・・。」
オリバー様の言葉は、最後まで続くことは無かった。いきなりの稲光で、訓練は強制終了となった。そして、暫くの間、天候は荒れた。
「ルー様、お疲れさまでした。この後は、カオリ様をお願い致します。」
「何かあったのか?」
私もオリバー様の言う意味が分からず、?マークが浮かんでいるのみ。
「お互いに深く思い合っておられる様で何よりです。天候を変えるほど強い思いを・・・いえ、余計な事を申しました。」
ルー様は、空を見上げてから私を見た。
「・・・そうか、そこまで。」
「えっ、どういう意味ですか?」
「少し部屋で休もう。」
意味が分からないまま、ルー様に連れられて部屋に戻る。部屋に入ったと共に、スイートタイムに突入。いきなりの壁ドンから、熱い抱擁とキス魔降臨。
それでも、暫しの逢瀬の後にドアをノックする音とオリバー様の声が聞こえた。
「もう少し時間をくれてもいいだろうに。」
小さな声で反論するルー様に思わず笑みが零れる。
「直ぐに行く。」
「承知いたしました。」
・・・・・・ん?ルー様が離してくれない。
「天候を変えるほど、私を愛してくれて嬉しい。」
「えっ?天候?私にそんな力などないですよ?」
「謙遜しなくていい。」
天候を変えたって、何故そんな風に思ったのだろう?
「仕方ないが、執務に戻ろう。カオリも付き合ってくれ。」
ルー様の言葉を反芻して、フト気付く。
さっきの悪天候って、私がヤキモチ妬いたから?えっ、そうなの?。確かに、いい気分じゃなかったけれど。これが、女神の代理人の力?怖っ!?
じゃあ、あの風もひょっとして・・・。
「どうかしたのか?」
「えっ?あ、問題なんて何もありませんよ?」
うわぁ~っ!!?ヤキモチ妬くだなんて、恥ずかしいっ!!
収まれ~っ、収まれ~っ!!平常心だよ、平常心。あ、天候が回復してきた?ホント、怖っ!!