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私の異世界転生生活

第6章 暫しの微笑み


「それで、国王様から伝言です。三日後の夕食に、カオリ様に料理をして貰いたいと仰っておられました。」

どうやら、国王様たちもルー様の笑顔を見たいらしい。王妃様の方が切実に願っていらっしゃる様だ。これって、断われないよね?

「国中の作物を集めるそうで、献立を考えて欲しいそうです。」
「ルー様が笑わなかったら、私は打ち首になるんですか?」

涙目の私に、ルー様は慌てて国王様に直訴に行くと言われました。実際、ルー様が苦言をしてくれ、お菓子で手を打つことになりました。

ルー様に好き嫌いは無いとのことだったので、私が作りたいものを作ることにしました。チョコレートは思った以上に高価だったので、シフォンケーキに決定。

また、敏腕小姑の手伝いを所望し許可された。うん、またこき使おう。


夜になり、ルー様と暫しまったりタイム。

「浮かない顔をしているが、本当に気にしなくていいからな?」
「ルー様は、私が作るお菓子食べたくないって事ですか?」
「食べたいに決まっているだろう?」

決まっているんだ。それはちょっと嬉しい。

「あの味は本当に今でも忘れられない。」
「ルー様って、何が好きですか?」
「カオリだ。」
「いえ、食べ物で。」

いや、即答で私の名が出るってどうなの。嬉しいけど。

「カオリが作るものなら何でもいい。」
「何でもいいのなら・・・食事の方も作っていいですか?乳製品扱ってたら、グラタンが食べたくなって。」

この世界に似た様なメニューはあったけれど、グラタンは存在しなかった。私のお願いは直ぐに聞き届けてくれ、早速、翌日のランチに作戦は決行されることとなる。

ただ、機嫌がとても良かったのか、この夜のルー様からの口付けは何度も繰り返された。


翌日の朝。どうしてこうなった?

今、私は借り受けて貰った厨房の一角でシフォンケーキとグラタン作りをしている。今回は力仕事は変わらずオリバー様にお任せしています。

そして、何故かルー様も同行されています。私の手元と、私の顔を見ているだけのルー様。無表情のままですが、機嫌は良さそうです。

焼き釜からいい匂いが漂う頃、何処からともなく料理人さんたちのトーテムポールが出来ていました。ごめんなさい。お裾分けは出来ません。

今回は、ルー様がいたので声を掛けられることなく、食堂にて舌鼓することになりました。
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