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私の異世界転生生活

第6章 暫しの微笑み


「そうか。カオリがそう言うなら。それで、それがケーキと言うものか?」

蓋を開けて中身を披露すると、ルー様は目を丸くされていた。

「これは美しいな・・・。それに、こっちの小さなものは?」
「シュークリームと言います。シューと言う生地の中に、カスタードクリームと言うクリームが入っています。召し上がってみてください。」
「頂こう。」

王子らしからぬ、手掴みで一齧りしたルー様。

その後・・・そう、私たちは驚き目を見開いた。

そう、少しの間だけだったのだけど、ルー様が確かに笑みを張りつけていたのだ。オリバー様でさえ、ポカンとしている。

「これは美味しいな。どうした?二人とも、私の顔に何か付いているのか?」

笑みは直ぐに消えたけれど、信じられないものを見るかのような眼差しでルー様が手にしているシュークリームを凝視するオリバー様。

「ルー様、確かに今、貴方様は笑っておいででした。」
「笑う?」
「流石、女神の代理人が作られたお菓子。こんな効能があるとは。今後、私の見解を改めなくてはなりません。本当に失礼致しました。カオリ様。」

敏腕小姑が私に深々と頭を下げている。えっ、何?どうしたの?私はただお菓子を作っただけなんだけど?

「カオリ、本当に私は笑っていたのか?」
「はい。少しでしたけれど確かに。そうだ。ケーキの方も食べてみて下さい。」

そして、ケーキを食べた時も、シュークリームを食べた時より長く微笑む顔が見られた。

オリバー様は部屋を飛び出し、国王様に報告に行ってしまわれた。執務室に残された私たちは、少しテンションが可笑しくなっていた。

スイーツを食べながら笑みを浮かべるルー様が神々しく、ルー様の笑顔の破壊力に私は打ちのめされていた。こんな表情を見せられたら、誰もが恋に落ちる。

「カオリの手は、魔法の手の様だな。」
「愛情たっぷり込めたからですかね?」
「愛情か。それは嬉しいな。」

妙なテンションのまま、ルー様にキスされまくりオリバー様が戻って来ると通常運転に戻った。そう言えば、食べていたケーキが無い。

「国王様たちにも食べて頂きました。それはそれは、凄い賞賛をされていらっしゃいました。」
「えっ?こ、国王様たち?あ、あんな手習い程度のお菓子をですか?ふ、不敬になりませんか?」

何、勝手なことしてるの!?

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