第2章 敏腕小姑従者登場
結果的に想像よりは多めの15万ルカ(=円)で落ち着いた。そして、ルー様のプレゼントは受け取ることを約束させられた。高価な物ではないことを祈りたい。
再び書類整理を続けていると、夕食の知らせが来た。ルー様と共に食堂に行くと、王族が揃っていた。今更ながら、先に知らせてくれなかったことを内心で恨みつつ席に着く。
静かな食事の最中、ルー様だけでなく他の王族の視線を集めている私。怖くて視線が合わせられない。マナーがダメとか思われているのだろうか?
「ルーチェスは、本当にカオリのことが好きなのねぇ。」
「はい、母上。」
真顔で答えるルー様。王妃様の、ほのぼのとした表情に、少しだけ安堵する。だが、国王様は無言だ。やっぱり、認められないとか言われるのだろうか?
「ルーチェス、子が先でも構わないからな。」
私は思わず飲んだスープを吹き出しそうになった。子が先って何?あ、でも、同じ部屋で過ごすのだし・・・。何か、今更ながら恥ずかしくなってきた。
何故、諸手挙げて歓迎されているのだろう?子供は好きだし、いつかはとは思っているけど。
ある意味全力で辱めを受けた夕食後、手を引かれガゼボへと来ていた。空には、綺麗な三日月が淡く光っていた。
「オリバーから聞いたのだろう?4年前のこと。」
「あ、はい。すみません、勝手にお伺いして。気分を害されましたか?」
「そうではないのだが、自分の口で言いたかったと思ってな。それだけだ。あれを聞いて、私を不甲斐ないと思っただろう?」
「ルー様、少し私のことを聞いて下さいますか?」
ルー様の承諾を得て、私は今までの元カレのことを話した。泣き叫んだことも全て。
「ルー様は、私を不甲斐ないと思いますか?」
「思わない。」
「私もルー様を不甲斐ないとは思いません。良いではないですか。ご自身を守る為に、その決断をされたのは。私は賛同します。」
「・・・礼を言う。」
ルー様の頭が私の頭に寄り掛かる。
「父上が先程言ったことは、気にしなくていい。焦らせるようなことを言って悪かった。」
「ルー様は子供はお嫌いですか?」
「そんなことはないが・・・どうして?」
「私は元の世界に戻れないんです。でも、だからと言って妥協なんてしたくない。私は私だけを思ってくれる人がいいんです。ルー様は・・・私だけを望んでくれますか?」