第2章 敏腕小姑従者登場
そんなことを思っていた私も、つられてウトウト。気が付いた時には、ルー様の腕の中にいた。
「あ、じ、時間っ!!」
「問題ない。もう少し二人きりでいたい。」
「ルー様、起きていらっしゃったのですか?」
「少し前にな。ほら、私に休息をくれ。」
目を閉じれば、重なり合った唇。それは水音がするほど熱くのめり込んで行った。
「本当に愛らしいな、私の女神は。」
「それは宜しかったですね。ですが、そろそろ執務室にお戻り頂きたいのですが。」
私は思わず声を上げ、ルー様はどうやら気付いていた様だった。私はあんなシチュエーションを見られていたのかと思うと、恥ずかしくて顔が上げられなかった。
「分かっている。では、残念だが戻るとするか。カオリ、立てるか?無理なら私が運ぼう。」
「い、いえ、大丈夫です。」
余計に恥ずかしい。そして、城中だと言うのに、指を絡められたまま連れて行かれる私。これも恥ずかしいのだけど。
執務室には、再び増えた書類が積まれていた。大変だなぁなんて思っていると、ルー様が私を見て数枚の書類を差し出した。
「これは?」
「城下町にある店のリストだ。興味がある店があれば、私に知らせてくれ。」
「えっ?あ、はい。」
ソファーに座り受け取った書類に目を通す。そこにあったのは、服飾店や宝飾店、更に魔道具やスイーツのお店など様々だった。
どの全てのお店も王族御用達の一筆が書かれていた。それって、凄く高額なお店って事だよね?確かにドレスは凄いなとは思うし一度くらいなら着てもいいかもしれない。
宝飾は、因みに私の誕生石はガーネットだ。ガーネットは赤いので買ったことがない。持っていたのは母から貰った真珠のネックレスと銀細工のリングくらいだ。
決して興味がなかった訳ではないのだけど、19の小娘が気軽に買える物では無かった。ペアリングにも憧れるし、婚約指輪にも憧れはある。だからと言って、私が気軽に強請っていいものではないはず?
お小遣い欲しいなぁ。気軽に欲しい物が買えるように。ルー様に何か仕事を斡旋して貰おうかな。
結果的に、斡旋はして貰えなかった。但し、ルー様の仕事をお手伝いして給金を貰える様になったのは嬉しい。金額単価を教えて貰ってから、給金の額を聞いて一度辞退した。
只の手伝いで月100万ルカ(=円)は貰えない。どんな金銭感覚をしているのやら。