第2章 敏腕小姑従者登場
頭に優しいキスがされた。
「勿論だ。これからも愛を囁こう。他の男の甘言に惑わされる事が無いように。不安に思う時は、いつでも私に伝えてくれ。」
「はい。」
寄り添いただたわいもない話しをしてから、私たちは部屋に戻った。奥の部屋には浴室があると言う。ルー様は所用があるとのことで、部屋を出て行った。
私はその間、入浴する。想像通りの広い浴室に、ライオンの口からお湯が出ていた。典型的イメージの王族のお風呂だ。広い浴室にたった一人。流石に泳いだりはしない。
と、そこで気付く。私の着替えってあったっけ?脱衣所に行くと、着ていた服は無くなっていて代わりに何かが置かれていた。
身体の水分をタオルで取り、用意してくれていた服に袖を通す。肌触りがよくデザインも可愛らしいワンピース型の寝間着だ。
部屋に戻ると、バルコニーから風を感じた。
「ルー様?」
「あぁ、バルコニーにいる。」
少しだけ開いていた窓を押し、外へと出た。そこにいたのは、胸元をくつろがせグラスを傾けているルー様がいた。
お酒を勧められたけれど、生憎私は未成年だ。ルー様もそれ以上は無理強いはしなかった。
「その寝間着姿、愛らしいな。それによく似合っている。」
「ありがとうございます。何から何まで用意して下さって。」
「喜んでくれたのならそれでいい。さて、私も湯を浴びて来よう。どうする?このままここにいるか?」
「はい。もう少しだけ。」
ルー様は私を抱き締めた後、浴室へと消えていった。
「この世界にも、星も月もあるんだなぁ。家族には、最後のお別れも何も出来なかったな・・・。」
両親はどうしているだろう?仲の良かった友人たちも、きっと悲しんでくれているだろう。
それに、あんな夢なんて見たくない。何処までも追い掛けられる夢。追い付かれたら、今度こそ・・・。
そんな事を思いながら、ボンヤリと空を見上げていた。
暫くして、そっと温もりに包まれる感触。
「身体が冷えている。中に入ろう。」
優しい声と共に部屋の中に戻れば、灯りは消されていて月の光だけが部屋を照らしていた。私は手を引かれるままベッドに入り、横になった。
私に温かさを分けてくれるルー様。
「ルー様は、何処にも行かないでくださいね?」
「あぁ、傍に居る。」
その穏やかな声に包まれる様に、私は目を閉じた。